3月例会報告
児童館ほしい人 みんな集まれ!
3月25日(土)常盤平市民センター
≪児童館というのは、常設で地域の中にないと意味がない≫
児童福祉施設最低基準 第37条 児童厚生施設の設備の基準は、次のとおりとする。 2.児童館等屋内の児童厚生施設には、集会室、遊戯室、図書室及び便所を設けること。 第38条 児童厚生施設には、児童の遊びを指導する者を置かなければならない。 2.児童の遊びを指導する者は、次の各号のいずれかに該当する者でなければならない。(略) 第39条 児童厚生施設における遊びの指導は、児童の自主性、社会性及び創造性を高め、もって地域における健全育成活動の助長を図るようこれを行うものとする。 |
―野田の児童館を見に行った。夏休みの真ん中あたりに。そんなに広くはないけど、公民館とくっついている児童館だった。館長ではないけれど、まかされた責任者がいつもいる。その人がとてもいい人で、18才までの子どもは誰でもいつでも来てもよいということで、本当に18才までの子どもたちがやって来ていた。大きい子がバスケットをやっていたり、小さい子がお母さんと来て、じゅうたんの敷いてある図書室で本を読んでもらったり…。 工作室もあって折り紙や工作をやったり、裏にある畑で作った作物で何かを作って皆で食べたり、いろんなイベントをやっている。スタッフが命令してやらせるのではなく、子どもたちが自主的に活動するための手助けをしている。とてもいい雰囲気でした。茶髪のお兄ちゃんも来てね。松戸にもこんな児童館があったらと思っていたら、松戸の青少年会館のTさんから「新しく児童館を作るのは大変だから、今一番使われている割合が多い公共施設の図書館を、うまく使っていくのも一つの方法だ」と言われた。それで図書館を考える活動をしてきた。
―児童館というのは、児童福祉法で定められている、18才までの子どもたちのための児童福祉施設。建物だけが児童館なのではなくて、児童館を中心として地域の中でやる、活動全部を指して児童館と呼ぶ。建物だけを作ればよいのではなくて、地域の中で子どもたちが健やかに育つためにいろいろサポートして行くのが児童館。松戸市には常盤平に1館あるが、最近野菊野団地に移動児童館があるということだ。
―先日の市議会で、松戸市は市立保育園を建て替える時にそこに児童館を併設していく計画でいるのだが(とりあえず2ヶ所)、財政が困難なので保育園の建て替え自体いつになるのか予定はたっていないという答弁をしていた。
―野菊野団地の集会室を借りて、そこに市の職員がやって来て、お話を聞かせたりしている。これは対象年齢が低い。
―常盤平の児童館は、この地域の子どもたちにとってはとても役に立っている。中学生になっても放課後やって来て、居場所になっている。そこにいる指導員の人とも顔なじみになってという子がいるし、児童館に頼っている子も結構いる。だけど、新松戸や矢切など他の地域の子どもにとっては全然関係ない。児童館というのは、やはり常設で地域の中にないと意味がない。
―いつでもそこに行けば誰かがいるというのでなくては…。いつでも誰かが受けとめてくれるというのでなくては居場所にはならない。
―幼児期・学童期にも必要なんだけど、幼児期については市もずいぶん力をいれるようになってきているし、小学生は放課後でも学校へ行けば誰かがいるというようにまだ居場所はある(昔に比べると減っては来ているけど)。でも、中・高生になると深刻で、コンビニの前であるとか深夜の公園などが居場所になってしまっている。中・高生にとっての居場所としての児童館というのはとても必要になってきている。それと、わが子は不登校なのだが、不登校の子どもの居場所として近くに児童館があったらなあと思います。不登校の子にとっても、地域の中に居場所があればと思う。地域の中で生活するというのはとても大事だから。
―野田の児童館の場合、そこで育って大きくなった子で手伝いに来ている子がいた。異年齢の子どもたちの交流の場にもなっている。
―学童が公立公営化されるということで、4年生以上の子が行かれなくなって、その子たちの居場所がなくなってしまう。学校だから安全ということでもなく、見てくれる大人の人もいない。子どもが野放し状態になっている。児童館が必要だなと思っています。私は、町田の「ばあん」という児童館を見学に行きましたし、青山の子どもの城や市川の中央児童館にも行ってみました。
―市川の児童館は小さいけれど、歩いていけるところにいつでも行けるという場所があるのはありがたかった。
―市川は全部で14館あります。(下表参照)
―杉並の児童青少年センターは企画段階から中・高生が関わって作り上げた。すばらしい児童館。ライブスタジオまである。
【近隣自治体における児童館の状況】 (99年8月1日現在松戸よみうり調べ)
自治体名 |
人口 (千の位で四捨五入) |
児童館数 |
移動児童館の有無 |
年間利用者数 (H.10年度分について百の位を四捨五入) |
今後の建設予定 |
船橋 |
55万人 |
19 |
無 |
52万6千人 |
具体的になし |
松戸 |
46万人 |
1 |
有 |
2万6千人 |
|
市川 |
45万人 |
14 |
有 |
34万2千人 |
無 |
柏 |
32万人 |
3 |
無 |
8万3千人 |
1館予定 |
流山 |
15万人 |
7 |
無 |
約10万人 |
無 |
我孫子 |
13万人 |
0 |
― |
― |
検討中 |
野田 |
12万人 |
5 |
有 |
5万5千人 |
無 |
鎌ヶ谷 |
10万人 |
4 |
無 |
約15万人 |
1館予定 |
≪とりあえず身近に児童館がほしい≫
―児童館を要求するということは、松戸で子どもが育つために何が必要かということを全部ひっくるめて考えて、その中で地域のセンター(子育ての核)があるとすればそれが児童館というような考え方で取り組む必要があると思う。もっと学習しなくては…。
―大きければ大きい方がいいでしょうけど、松戸に児童館を望むときに大きい児童館が欲しいですか。どんな児童館を望みますか。
―とりあえず身近に児童館が欲しいですよね。
―まず場所があって、人ですね。建物の中だけで活動するのが児童館でないとすれば、子どもたちをサポートするスタッフと、そこに集う子どもたちと親が計画して、例えば今日は町の中でぐちゃぐちゃやろうとか、公園でこんなイベントをやろうというふうに、地域に出ていけばいい。
―まず場所を確保して、そこに皆が集まって活動をしていくうちに、こんなものが必要というように、要求が出てくると思う。活動し始めないと何を要求すれば良いのかわからないということもあると思う。集まってきた人たちの声をどんどんとり入れて、皆で作り上げていけばいいのではないかな。そういう積み重ねがあって、立派な大きな児童館ができていくのではないかしら。
―小学校の空き教室というのはどうかしら。
―今、学童も小学校の空き教室を使っているところが多くなっているし、子どもにとって児童館は学校以外の場所というイメージが強い方がいいし、不登校の子は学校の中にあったら多分行かないでしょう。
―地域にコミュニケーションが取れる場所。気軽にそこへ行けば子どもだけでなく、高齢者も含めた大人たちも皆地域の人が集える場所というものが欲しいなと思う。
その場所を管理する人がいたり、子どもたちの相談やケアができる人がいたり、住民の暮らしや高齢者の福祉などについて、そこへ行けばいろいろな情報が得られるという場所。そんなトータルな場所が、地域の中にあるといいなと思う。都内の児童館で30年働いていた方がいて、そこの区には「じゅうく」があるという。「じゅうく」って何だろうと思ったら『住区』だって。そこでは、午前中は小さい子どもや高齢者の人たちが来ていて、午後になると小・中学生たちが来ているという。それっていいなと思った。今、地域の中で本当にコミュニケーションがなくなってきているでというのは、もう無理なんだよね。昔の形を今取り戻そうとしたって無理だし、昔の形は必ずしもいいことばっかりではなかった。別の場所、新しい場所を提供するということで、自分の足で住民が地域づくりやっていけるんではないかな。異年齢の子どもたちが一緒に遊ぶ機会がないといわれて久しいけれど、やはり大人たちが意図的に何らかの形でやっていけるように考えてあげないと、自然に放っておいても今は無理。
―自転車で15分位の所に、隣接している鎌ヶ谷市のコミュニティセンターがあって、そこに市民センターと同居して児童館がある。そんな大きなものではないけれど、うちのクラスの子どもたちがおおぜい遊びに行っている。「コミセン」に行くと言ってね。いろいろな年齢層の子どもたちがやって来ている。子どもというのは、公園があってもいつもそこの公園で遊ぶかというとそうでもないんですね。いろんな冒険したいのが子どもですから、いろいろな所にいろいろなものがあって初めて、いろいろ冒険したり遊んだりする。でもそういう冒険するところがない。鎌ヶ谷のコミセンに行くというのが4年生の子どもらにとって、一つの冒険でもあるんですよ。授業が短縮になった時などは、必ず何人かで徒党を組んで行くんです。そこに卓球台やトランポリンがあったり、それで指導員がいて、親たちも安心して話せる場所ですね。
松戸はなさ過ぎますよね。子どもの心を揺さぶるものがない。
―そのコミュニティセンターの館長が、隣接している松戸の小学生がいっぱい遊びに来ると話していました。別に市が違うからと言って拒絶しないで受け入れてくれている。職員の人と顔見知りになるほど通いつめている子どもたちもいる。
―でも不思議ですよね。松戸に児童館が一つしかないなんて不思議としかいいようがない。
―松戸は少子化対策ということで、いろいろ子育て支援事業というのをやっているけど、児童館の中には、乳幼児期の子育てをしている母親を対象とした母親講座をやっている所もあるし、相談事業をやっている所もある。児童館の中であらゆる年代の子どもたちの問題をカバーできるのに。
―中・高生を対象とした児童青少年センター(ゆう杉並)の話を聞くと、そこに集まる子どもたちの姿がとても健全だなと思う。松戸の中・高生はどこに集まるかというと、駅近くのゲームセンター。そこへ行かざるを得ないんです。遊び場がないんですから。
―市民センターは高校生の子どもたちには貸さないんです。話し合いをしようと思っても場所がないんで、苦労しているようです。
―ファミリーレストランに集まって話し合いをすることもあるようです。
―中高生は部活やるしかないですね。他に集まるところないんだもの。
≪ここらで本当に子どものためにお金を使ってほしい≫
―以前子ども課に聞きに行ったんです。市民センターの一室でもいいから子どもたちに開放できないかと。そうしたら、「他の利用者、例えばご老人とかが、嫌がる」と言うんです。寒い話です。
―松戸はゲートボール場は立派なものがある。和名ヶ谷スポーツセンターには屋内のゲートボール場もあるんですよ。シルバー世代には厚くしているのに、子どもたちには何もない。
―お金の使い方が、地味だけど毎日使う市民にとって大事なものとか、学校現場で一番欲しいものなどについては後回しにされて、ブラスバンドの楽器だとか、コンピューターなどの目立つところに使われている。日常使うものが足りなくなってるのに。
―ゲートボール場があるからといって、高齢者に厚い政策をとっているわけではない。
高齢者でもそこに行ってゲートボールができるような元気な人のことは考えているけれど、そこまで行けない人がいっぱいいる。そこには目を向けていない。
―児童館ていろんなものが解決できるような複合施設だという意見があったけど、どんなことが考えられるでしょう。
―子どもの居場所。異世代交流。
―乳幼児期の親子一緒の催し物があるから親同士の交流もできる。相談事業もあるし、子どもたち同士が企画を立てて催し物をするという学習の場にもなる。
―少子化に歯止めをかけることができるかもしれない。
―お子さんが学齢期を過ぎると児童館への関心が薄れるということはないですか。
―卒業した子もリーダーシップを取れるような体制になっていればそんなことはないと思う。
―児童館の中で子どもたち同士がいい関係を作っていろんなものができていれば、大きくなってもまた立ち寄って小さい子たちと関わって行くというようなことが自然とできてくると思う。
―そういうことを子どもたちが自分たちで立ち上げて行くと思う。
―今の子は兄弟が少ないから、他の年代の子どもと遊ぶということは大事ですよね。
―若い世代の人間にとって松戸は魅力がない。愛着がない。じゃあ松戸で何かしようという思いはもともとないし、外へ行くのもよく分かる。松戸に何も求めないんです。
もっといい図書館があるといいと思っても、じゃあ都内へ行けばいいじゃないと思ってしまう。いずれ松戸なんか出ちゃうからと思ってしまう。私は25才でそういう世代なのかもしれないですけど。
―46万都市で人はたくさんいるから、お金が落ちるところたくさんあると思うのだけど、なんでこんなに余裕のない町になってしまったのか不思議です。
―お金のかけ方が違うんですよね。
―柿の木体育館ができた時には、市民の反応はよくなかったですよ。もう体育館はいらないって。スポーツ施設はいらないって。
―児童館は地域で作っていかなくてはだめですね。市民が運動をする時も、例えば矢切の地域で、ここに児童館がほしいと地域の人たちが要求していくというふうに。
―できるだけ早い段階から市と歩み寄りながらやって行かないと、大きな児童館がほしいという時にうまく行かなくなってしまうのが心配。
―練馬区の図書館の作り方で、この地域でほしいというのから始まって、松戸の分館のようなものではなく、地区館というちゃんとしたものが12作るという予定ができて、もうかなりできている。松戸では図書館をそうした方法で作るのは無理だけど、児童館はそれで作れるのではないかしら。
―学校的な価値から子どもたちを解放してあげる場としての児童館も必要だから、学校の中に施設として作るのは楽かもしれないけど、無意識のうちに学校的な価値観に縛られてしまう可能性がある。それではやはり可愛そう。
―図書館の分館のような感じがいいんですよね。
―児童館がたくさんある市というのは、公民館とか市民センターを作るときに最初から児童館を組みこんで作っているんですよ。松戸の場合は最初からそういう計画性がなかったというか、後になって考えてみればそうすればよかったということになってしまう。市の人は、そのことに触れると、松戸市は爆発的に人口が増えて、そこまで手が回らなかったというのですけれどね。他の市だって同じ状況だったわけですよ。
―その時に長期的なビジョンがなかったということですよ。
―大型のマンションを作る時に、1階を児童館のスペースに提供させるというようなことができるのではないかしら。
―今、いろんな地域に廃屋になっていたり、空家になっている大型店舗やレストランなど、結構ある。そういうところを市が借り上げて児童館にしたら良い。
―地域のことは地域の人が一番よく知っているのだから、ここが児童館にできないかと市にアイデアを持っていけばいいのよね。
―競売に出ている土地もたくさんあるんですよね。
―そういう土地については、市が公共的な建物に使う時は優先されるんですよね。
―財政難なんて理由にならない。市がやる気になれば工夫していろいろできるはず。
―同じことが言えるのが、市のバス。他の市はどこも大型バスを持っていて、学校の遠足の時に使うんですけど、松戸は持っていなので市立松戸高校のバスを借りている。消防署のバスも借りられるんだけどその場合は運転手は借りる側で調達しないといけない。
―ここらで本当子どものためにお金を使ってほしいですよね。
―住民の福祉を皆で盛り上げていく。コミュニケーションがないからそれもできないというのは、どちらが先か分からないけど、1人1人が松戸の町を自分たちに住みよいものにしていこうということが大事。
―運動の時にむずかしいのは、松戸の人たちの中に児童館というイメージがないこと。なくてもいいのではと思ってしまう。もっと児童館をできるだけ紹介して、児童館てこんなに良いものなんだと分かるのでは。
―見学ツアーをしましょう。大きい児童館ではなくて、近隣の地域の中にある小さな児童館をいくつか行ってみましょうよ。大きいところでは市川の中央子ども館あたりで。
―大人は真剣に自分の子どものためだけではなく、次に来る子どもたちのために何か残していかなくては。
―そうしないと子どもたちが松戸に住み続けようと思わなくなってしまいますね。
―今の子どもたち、今の大人たちにとって居心地のいい場所であってほしいですね。
(まとめ:浅井ゆき)
児童館の特集を昨年行った、「松戸読売」の記者の方2名の参加もありました。資料も提供していただいて、とても参考になりました。どうもありがとう。