3月例会報告

今を生きるPTAのあり方は?


【飯島由美子さんの話】
 

うちのPTAでは今年、選出委員をなくしたいという意見が選出委員会から出てきた。なくすことによって、どうやったら役員選びができるかということを皆でゼロから考えていけるPTAづくりをしていきたいと。既存のものを引き継いでいくことに、しょうがないから引き継ぐかということに皆疲れてきている。自分たちでPTAをつくってみようという考え方にたって、何を本質的に守って、どこを会員にとって動きやすいものに変えるかということを中心に考えてみようということになった。

それで、選出委員会主催の勉強会を開きました。20名くらい出席して、思いのたけを話し合いました。役員の仕事の見直しもそうなのだけど、役員会のイメージが遠い存在・特殊な存在で、そこに名前を連ねるのに抵抗を感じるという人が多いんですね。何を変えたいかを皆で出し合いました。例えば、連Pを脱退したらどうかとか、卒業式・入学式に役員が出席するのをやめたらどうかとか、そういう話まで飛び出すような勉強会でした。連Pが今のように形骸化して来たことには単Pにも責任がある。連Pは情報交換の場、共に活動する場として、本来の機能を果たせばとても大事な場。その役割を果たせるように単Pとしても努力が必要。私は脱退しない方がいいと思うと話しました。 

「子どものため」というのは本当にどういうことなのか 

学校側が押し付けてくるものが膨大。あれもやってほしい、これもやってほしいということが結構ある。今年はそれを、PTAは学校のお手伝いをするところではありませんからと断ってきた。去年までは学校から言われる前に、PTAが率先してお手紙を出して、お手伝いをやってきたという経緯があるから、今年もやってくれるだろうと思っているのでしょうね。私は、「PTAは学校のお手伝いをするところではなく、団体として独立したものだから、PTAではしませんよ」と運営委員会で言いました。運営委員会のメンバーもこのことを初めて聞くという人が多いんですね。「こどものために草むしりや学校の掃除を手伝うのがどうしていけないんですか?」と言う。「それはPTAとしてではなく、学校から手紙が出た時に一保護者として答えればいいこと」と答えました。そこを区別して考えていかないと、「子どものため」という言葉でPTAがいろいろなことを押し付けられてしまうことになる。「子どものため」というのは本当にどういうことなのか。そういう話を何回か続けていくうちに、「やっぱりPTAが学校のお手伝いをするっておかしい」という雰囲気が出てきた。当たり前だったことがおかしいことと思うような空気が流れ始めてきた。そうするとあれもおかしい、これもおかしいという意見がいろいろ出てくるようになる。だから、「おかしいと思ったことは声に出していってください」と言いました。1人でもおかしいと思ったことは言わないと、誰も気づかない。

運営委員会も座り方を変えました。机をなくして、イスを円形に配置するようにしました。傍聴もOK。先日は5人位傍聴に来ました。運営委員会だよりも毎回発行しています。速報性を重視して、3日くらいで仕上げて印刷して出しています。とにかく出た話はすべて意見として載せるようにしている。ところがその運営委員会だよりに教頭のチェックが入りました。「誤字・脱字を見たいだけなんです」と言うんですよね。発行責任者は役員会で教頭でないのに。これまで何年間か見せてきてしまっていて、慣例になってしまったのでしょうか。これは検閲に当たるのではないか、おかしいと言っているのですが。他の学校に聞いてみてもやはり同じようにチェックされている。一度教育委員会に聞いてみたいと思っているんです。「教頭にはPTAの手紙についての検閲権があるのかどうか」と。

そうやって、PTAの仕事になっていた学校行事のお手伝いをなくしました。委員会の仕事って、いかにクラスのお母さんたちと集まって話し合うかということが本質的なことだから、そこを大事にしていけばいい。子どもの学校での状況に目を向けて、それを話し合うという土台づくり・基盤づくりが大事と話しました。委員をしていない人たちに学校行事のお手伝いを振り分けて…。そのお手伝いをするために仕事を休んでくる人もいる。それって本当に平等なのか? それが本当に子どものためになるのか?

PTAは子どものためにあるのだけれど、私は自分のためにPTA活動をしている。

u     子どものためと言いながら、子どもを留守番させて学校に日参しているということに疑問を感じるという人がいる。子どもを犠牲にしてまでやるPTA活動って何だろう?と。

親が成長することで子どもも成長するし、その成長を助けるためのPTA活動にならなければならない。親がいない方が子どもって結構のびのびとできる。のびのびとしながらもしっかりやる。

 

選出委員会の提案を受けて話し合い、臨時総会を開きました 

役員は、今年会計監査を含めて13名。会則では、役員7名、会計監査3名になっているが、その13名を全員受け入れるかどうかの審議をして、会則の人数を柔軟性を持たせて、最低7名以上と変えました。できるという人がいる以上はやってもらってもかまわないのではないかという意見が大半でした。来年も引き継いで出来るような人を育てるのが一番ということで、人数については承認されました。

2議案だった選出委員会廃止については、かなり意見が出ました。窓口がどこになるかというのが一番問題になりました。総会の議題に上げるかどうか運営委員会でも意見が噴出して、それはクラス委員がその窓口になるのではないかと、クラス委員から反対が出ました。役員選出をどういう形でするのがいいかを考えるために、議題に上げること役員会は賛成しました。選出委員会をなくすことには反対ですが。
選出委員だけがいつも苦しい立場に立たされている。選出委員や候補にならなかった人は、何か知らんぷり。役員が決まらなくて、選出委員はとても苦労する。以前の会則では「役員・会計監査を交渉して決めていくことを目的とする」だったのに、それを変えて「役割を遂行する」という文章になっている。だから選出委員は絶対決めなくてはいけないという責任を負っている。選出委員会を廃止しなくてもいいから、この部分だけでも変えないと、選出委員にだけ痛みを押し付けるみたいになっている。その中で、運営委員・選出委員だけで考えるのではなく、PTA全体で考えたいという意見が出てきた。全体で何回も集まれないから、クラス・学年で考えたいと。とにかく会員全体で、選出のあり方を考えたい。そういう話し合いをして臨時総会の開催が決まりました。役員候補者の承認もその場ですることに。年一回の総会開催なので、通常なら5月か6月の承認になる。そんな時期に承認されてもしょうがないし、任期を役員会だけ総会時期まで長引かせるのはおかしいから、委員と同じように3月31日に解任でいいのではないか。毎年臨時総会を開かなくても、選出のやり方を変えて、たとえばクラスや学年から役員を選出することにすれば、その場が承認する場になる。いろいろ方法はあるだろう。ただ、手紙を承認の場にするのはおかしい。
 ここで何とかしていかないと、毎年役員選びに苦労して、それならPTAいらないんじゃないかということになってしまう。役員は、誰もがちょっと時間をさけばできるというイメージを作り上げていくには、各学年から1・2人出てパイプ役になって、次の役員を選ぶ時にクラスに持って帰って「こうだったよ。誰でもやれるわよ。私と一緒にやらない?」という雰囲気で持っていけば、もう少し役員と会員のギャップがなくなるだろう。
 

もう一回自分たちの頭で考えてつくりだす作業をしないと、

PTA離れがもっと進んでしまうだろう 

 結局、臨時総会の話し合いでは、来年度の役員選びに関しては時間をかけてみんなで考えていこうということで、出席者の大半が選出委員の廃止に賛成しました。役員会は選出がなくなったら大変だろうなぁ、どうするのだろうなぁという思いと、なくしてもいいのだろうかという思いと、反対でも賛成でもない白紙状態でした。

今まであったものをこなしていくだけのPTAではなく、今度は自分たちで考えて一からつくっていくものの一つだろう。もう一回自分たちの頭で考えてつくりだす作業をしないと、PTA離れがもっと進んでしまうだろう。選出委員をなくすことには勇気がいるのですが、「やっぱりあった方がいいね」という意見が出れば、また作ることができるのですから。会則の選出委員の項は全部削除されました。それに変わるものをどうやってつくるかは新年度の課題です。 

 会則がつくった時代と今を照らし合わせてみると、かなり教育環境も変わっているし、親の環境も変わっているし…。会則はとてもいい会則だからそのままいじらないで、細則で何とかやっていきたいと思っているが、会則を直さないと動きが取れない部分がある。そこは柔軟に考えていってもいいのではないかと思う。

 でも、会則は簡単に変えてはいけないのだと、総会でも話した。パッと思いつきで変えられるものではない。時間をかけて十分審議して、段階踏んでやっぱり変えたほうがいいとなった時に、変えるもの。

u        例えば、うちのPTAで、総会を2回から1回に減らしてしまって、それをまた2回に戻すのにとても大変で、時間がかかった。選出委員も一回なくしてしまったら、また新たにやりましょうというのは、結構きついと思う。

どうしたら役員をスムーズに出せるようになるかということを、みんなで考えるということが私は大事だと思う。既存のものに頼っていたところもあるし、うんざりしていたところもある。もう一年今のやり方を継続して、選出のあり方を考えるという方法もあるけれど、まず選出委員自体なり手がいない。くじ引きで選出委員が出てきている。さらに三役もくじ引きで。それはおかしい。PTAの本質がずれてきてしまっている。「くじ引きで出てきた私たちが、どうしてそこまで責任を負わなくてはいけないのか」という感じになっている。会員がほとんど無関心ということがとても大きな問題です。

 

A小PTAの場合

 選考委員がクラスから1名ずつ出ています。「選考委員会の中だけで考えていくのではなく、PTAの研修会や勉強会に出て、人を知ることから始めてみましょう」とPTAのしおりに書いてある。「PTA全体を客観的な目で見つめ、それぞれの役員・委員のあり方を考えていくのも重要で、それができるのも選考委員のポジションです」とも書いてあります。でも、この通りに全然いってなくて、毎年選考委員のなり手がなかなかいません。選考委員はクラスから1名ずつ。最初に「どういう選出をしていきますか」というアンケートが行われます。でも毎年、大体学年から選んでいくというような形になって、そのあと学年の名簿が来て推薦投票するというような形になります。最終的に100人以上推薦されてくる。票数は公表されず、また票数には関係なく、全員に互選会のお知らせを出します。そこで、推薦された人が集まる茶話会が開かれるのですが、そこに出てくる人は一握りで、20人くらいの出席しかない。そして年明けぐらいに互選会を開きます。そこに来る人はさらに少ない。

 今年は、その互選会で1・2名役員をやりますと言う人がいたのですが、そのあと動きがありませんでした。それで選考の人が困っていました。何をどういうふうにしていけばうまく進んでいくかということさえもわからないでいました。それで、3月の最後の運営委員会の段階でも決まっていなくて、選考の人がそれを相談しても、運営委員の頭の中は新年度の自分のクラス委員選びのことでいっぱい。選考委員と推薦された一部の人たちだけが苦労している。

 

PTAはお金集めの団体ではない 

 子どものために動けるPTAにしたいと思っていても、一般会員が望むものは、本当の意味で子どものためのものでなかったり、安直に体を動かすことで終わってしまうような仕事だったり…。

 PTAで廃品回収をしていて、その収益が特別会計に組み入れられていくのだが、ある年に部活のユニフォームをとても高いお金を出して買ってしまったんです。随分皆で話し合ったのですが、執行部が強引な決め方をしてしまったのです。それで特別会計の残高が減ってしまったので、さあどうしようということになりました。特別会計から、毎年学校で行う観劇会へ補助を出していましたから、残高がある程度ないといけないのです。そこでペットボトルを集めようということになりました。たまたま近くに酒屋さんがあって、そこが空きペットボトルを提供してくれることになって、最初は執行部だけがそれを取りにいっていました。取りに行って、洗って、干して。でも半年間やって、役員だけでは大変だから、会員皆の仕事にしようと。それでその係を強引に作ってしまいました。クラスから4名当番を出すことを決められてしまいました。この大変な時に4名も! そのしわ寄せで、委員決めが困難になりました。でも、「子どものためだからその係はいい係。なくす必要はない。続けていこう」というのが大半の人の意見です。

u        うちは以前ベルマークをやめました。その理由は、「ベルマークを集めるために商品を買う、そして特定の企業にお金が流れる、それっておかしい」ということでした。PTAはお金集めの団体ではない。今あるお金でできる活動をしていけばいい。そこを皆で共有していかないと、PTAの活動が本末転倒になってくる。本来のクラスPTAの目的である懇談会ができなくなってしまう。

特別会計もなければないでそんなに困ることではない。一生懸命になって貯めることはない。そういう説明をした上で、まず係の人数を減らしていこうとしたんですが。そういうわかりやすい体の使い方に対しては、あまり不満を持たない。それでいて、子どもたちと一緒に共有する時間を持つために知恵を絞ることは苦手という人が多い。

u        クラス委員がすぐ決まるというところは、そのクラスの活動が活発だったり、コミュニケーションがとてもよく取れていたりするところ。日常的なつながりがどれだけできているかということが大事。

u        そのつながりはペットボトル係ではできないよ。

u        ペットボトルを集めるというのが、PTAの目的のどこに合致するのか。PTAでやるべき仕事ではないという認識を全体のものにしないといけないね。

u        学校主催の観劇会にPTAが補助金を出すのもおかしいし、部活のユニフォームを買うのもおかしい。

u        それをおかしいと思う人が少ない。

u        PTAとは何かという研修をするといいですね。PTAのしおりにとてもいいことが書いてあるようだから、それの読み合わせをするだけでもいいですよね。

 

PTAというのはどういう町をつくっていくかを考えていくところ 

q     今、子どもの安全をどう守るかというのがPTAの一つの課題になっているが、目に見えやすい防犯ブザーとか、パトロールのプレートやヤッケとか、そういうことばかりに頭が回るのだが、人と人とのつながりということに目が向いていない。

q     そういうことで親が安心すると言うが、パトロールの中で子どもたちが遊んでいるという状況を考えてみてほしい。親たちの目で子どもたちを見ていくということが大事なのではないか。無関心層が多い街に犯罪が多いということを聞く。まちづくりから考えていかないと犯罪は減らないだろう。まちづくりは人づくり。

q     PTAというのはどういう町をつくっていくかを考えていくところ。地域でどういう人の関わりをつくっていくかを考えるところ。地区懇談会や、地域の人たちが知り合うという活動(例えば地域レク)に取り組むということが大事。いろいろな子どもたち、いろいろな親たちと知り合う場を作っていくことが大事だと思う。地域の中に顔見知りの大人たちがたくさんいるということが、子どもたちが一番安心して遊べる。


   


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