1月例会報告

教育行政に市民参画するしくみをつくりたい!


【神惇子さんのお話】

 鶴ヶ島市のすべての改革は、『子どもは小さなまちづくりびと』というスローガンを掲げて行っているのですが、その発想をとても魅力的なものに感じました。そのスローガンがどう具体化されているかと言うと、教育改革はまだ始まろうとしているというのが実情だと思います。

 

はじめに

 私が松戸市の教育改革市民懇話会に臨んだときの考え方は(今も同じことだなぁと感じていることですが)次のようなものです。

人権尊重都市宣言をしている松戸市の教育改革は松戸市に住むすべての人々の学習権を保障するものであること。

 とりわけ子どもたちが「市民」として「自立」できるようここの子どもたちに応じた基礎的な力をつけることができるよう大人たちは支援しなければならない。

 子どもの権利条約や教育基本法、児童憲章に示されているように子どもは学びの主体であり、主体的に学ぶ意欲を育む教育環境を整える必要がある。

 市民・住民は学習権を行使するためには積極的に教育改革に参加すること。

 学習要求を持つ市民・住民は行政とのパートナーシップにより要求の実現を目指すこと。

 松戸市らしい教育改革とは「市民の参画による改革」となる。

松戸市は人権尊重都市宣言をしているけれど、どうもそれが具体的に見えてこない。懇話会の方針として、最終目標は自立した市民をつくるということにあったのですが、自立した市民ということを言いながら、市民が自立していることを認めようとしない。そういう壁に何度もぶち当たりました。

教育改革というのは、子どもたち自身が自分の力で伸びていく、それを支えていくのが大人たちなのだという発想に立たなければならない。具体的には、子どもの権利条約や教育基本法、児童憲章など、すでに法律的な文章としてあるのですが、現実的には日本各地であまり実現していません。

 住民という言葉を入れたところにちょっとこだわりがあります。市民権をもたない人たちが排除されることのないようにという思いがありました。

 一言でまとめれば、「市民の参画による教育改革」ということに私の思いは集約されると思います。 

I.   「教育改革」を考えるにあたって

 松戸市の教育改革のプランが発表されて以降、大変な事態になっていますが、教育改革という名前で語られることがいろいろ錯綜していて、みんな同床異夢というか、いろんな思惑で言っていて、整理されていないような気がします。

藤田英典さんが『市民社会と教育―新時代の教育改革・試案』(世織書房)の序のところに書かれている下記の6項目が、世間で行われている教育改革に対しての視点を提供してくれると思います。

●教育をおもちゃにするな

●いじめや不登校を出しにするな

●独善や思い込みで事を運ぶな

●特定階層の利害・関心を不当に優先するな

●制度改革は変化の始まりでしかない

●理念・倫理を歪める改革は将来に禍根を残す

≪制度改革の3つの側面≫

 教育改革として、制度的な変更をしようという動きが国から市のレベルまで、あるいは学校のレベルまでいろいろ行われているわけですが、制度を改革しようという時にも、その制度に次のような3つの側面があると言います。

@    教育機会の構造に関わる制度的枠組み

A    カリキュラム・教育実践に関わる制度的枠組み

B    教育行政や学校の管理運営に関わる制度的枠組み

 

 @教育機会の構造に関わる制度的枠組み

 今回問題になっている学校選択制は、まさにこれにあたります。教育を受ける機会均等という精神が憲法・教育基本法で示されていますが、今 日本で進行しているのは学校選択制や中高一貫教育などで、規制緩和という名の下に、教育機会の均等原則を歪めていくような制度が取り入れられようとしています。

藤田先生が非常にこだわられているのはここのところで、今行われている学校選択制や中高一貫制(松戸の場合は小中一貫制が考えられていますが)は、これまで戦後の教育改革以降ずっとやってきた教育の機会均等システムを、大幅に変えようとするもの。 

Aカリキュラム・教育実践に関わる制度的枠組み

  学習指導要領がこのカリキュラムの部分を枠組みとして決めているわけですが、これが今変えられています。学習指導要領として変えられる部分と、学習指導要領を変えないでも各学校の工夫で変えて、教育実践として改革しているという例もあります。

ところが、@の部分とAの部分がごっちゃに論じられているのが現在の状況ではないかと思います。

学習指導要領で学校は非常に縛られていて、教員であり組合員である私たちはこの学習指導要領を諸悪の根源として批判してきたのですが、こういう学習指導要領という枠組みがあってもなお、現場の努力で教育内容にかかわって改革を進めることができるという例は各地にあります。 

B教育行政や学校の管理運営に関わる制度的枠組み

 私はこれにとても期待をしていました。日本の学校教育はとても規制が強くて、現場での様々な教育実践がつぶされる傾向にあって…ということから、文科省による中央集権的な支配をやめてもらう。つまり分権化。それから規制緩和。学習指導要領の問題もそうですが、もう少し現場の創意工夫が生かせるような規制緩和が進められることが必要だと、ずっと思っていました。全体的な規制緩和の流れの中で、幾分この部分が実現しつつあるところもある。ただ規制緩和の名前で、学校選択制が出てきてしまった。

鶴ヶ島の教育改革というのは、教育行政や学校の管理運営の部分で規制緩和を進めて、住民参加でやっていこうというものだと思います。 

I.   参画について 

私が「参画」ということについてこだわりを持つようになったのは随分古いのですが、個人的な経験としては、勤務していた県立松戸高校で校則問題があった時に、『生徒心得』を生徒たちが決めていくということをずっとやってきました。学園闘争・学園紛争と言われたものがあった時に、松戸高校の場合は校則を生徒自身が作る(全部の校則ではなく、服装規定)ことをしてきました。ホームルーム、生徒会で喧々ごうごうと議論しながらその時々に応じて生徒たちが自分たちで決めていくということをやり、大枠ではそれを認めるというやり方をしてきて、非常に節度を持った生徒たちの服装の状態を生み出していたし、それがまた生徒たちの誇りにもなっていた。

学校というところで考えれば、職員会議やPTAが当事者として学校運営に参加するということが当然のことと思いますが、現在は両方とも形骸化してしまっています。 

ただ参画を考える時に、メリットと同時に危険性も考えないといけないですね。戦前選挙権・参政権を持たなかった女性たちは、戦争中にお国のために役に立つ場として国防婦人会が組織され、非常にいきいきとそこに参画していった。青年組織も青年団という形で組織され、国体の中に組み込まれていったということがありました。今、防犯パトロールというものが組織され、安全安心条例というのが全国各地でできていて、市民と行政あるいは市民と警察の共同作業としてやられている。これはある意味市民が市民を監視するというシステムにつながるもの。参画にはそういう危険性もあるということを考えていかなくてはならないと思います。 

II. 鶴ヶ島の教育改革とまちづくり

1. 条例によって設置された教育審議会
 鶴ヶ島の教育改革で、「うらやましいなぁ」「素晴らしいなぁ」と思うことは、まず市民の教育審議会が条例で設置されたということです。教育改革をするための検討委員会といったようなものが教育委員会の中につくられ、その話し合いの中でこれは条例でやった方がいいということになったようです。

鶴ヶ島市教育審議会設置条例 

第1条  (設置)地方自治の本旨に基づき市民の参画と協働により、市の実態や特色に応じた鶴ヶ島らしさのある教育改革を進め、教育の真の目的を実現するために、鶴ヶ島市教育審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

第2条  (所掌事務)審議会は、前条に規定する目的を達成するため、次に掲げる事項について、教育委員の諮問に応じて調査及び審議し、並びにこれらの事項に関して教育委員会に建議する。
 @教育改革に関すること
 A生きる力をはぐくむための学校教育に関すること
 B地域の教育力の向上に関すること
 Cまちづくりと市民の学習に関すること
 Dその他目的の達成に必要なこと


第3条      (組織)審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げるもののうちから教育委員会が委嘱する。
  @市内の幼児、児童または生徒の保護者
  A市内の学校教育に関する団体及び社会教育関係団体(社会教育
  法第10条に規定する社会教育関係団体をいう)において選挙その
  他の方法により推薦された当該団体の代表者
  B市内の産業、経済、民生、文化等についての有識者
  Cまちづくりまたは教育に関しての学識経験のある者
3 前項第1号、第3号及び第4号に規定する者について、教育委員会
  は、必要に応じて公募することができる。


4条(任期)委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。


5条(会長及び副会長)審議会に会長及び副会長をそれぞれ1人置き、委員の互選によってこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。


6条(会議)審議会の会議は、会長が招集し、その議長となる。
  2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
  3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数の時は、議長の決するところによる。

7条(専門委員会)審議会は、特別の事項を審議するため必要があるときは、専門委員会を置くことができる。

  2 専門委員会の委員は、会長が委嘱する。

8条(参考人)審議会は、必要があると認めるときは、審議事項に関係するもの又は学識経験者の出席を求めて、その意見を聴くことができる。

9条(庶務)審議会の庶務は、教育委員会社会教育課において処理する。

10条(委任)この条例に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、教育委員会が規則で定める。

附則
1 この条例は、平成12年4月1日から施行する。

2 非常勤職員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部を次のように改正する。

  〔次のよう〕略

2.現状把握の重要性 

鶴ヶ島らしい教育改革をやるについては、まず鶴ヶ島の教育をめぐる状況がどうなっているかということを調べることの大切さを認識して、そこから始めています。その調査をやるについても、(松戸市だと業者に頼んで終わらせてしまいますが)アンケート項目も審議会委員が互いに議論していく。自分たちで議論するだけではなくて、高知県、北海道の宗谷などの教育改革の先進地域へ視察に行っています。アンケート項目を考えたら、こういうアンケート項目でいいだろうかと予備調査をして、さらにアンケート項目を練っていきます。それを学校・教師・保護者というふうに対象を決めてアンケートを実施し、それが出来上がったところで、そのアンケート結果を発表しながら、またもう一度教職員組合の意見を聞く、学校へ行って先生たちや親の意見を聞くということをしています。現在はそれを元にして教育改革のための基本方針(『教育改革大綱』)を作っているという段階です。その大綱についてさらにパブリックコメントを求めるということで、2月21日に中間報告会を開きます。そこでいろんな意見を聞いて、もう一度練って、最終的な教育改革案を作っていく。

鶴ヶ島市教育大綱案(中間まとめ)の構成

理念

市民の教育参加の保障、子ども主体の学校・地域づくり、開かれた学校づくり、特別なニーズを持つ子どもたちへの教育支援

第1章    子ども主体の学校づくり
1.学校全般のこと
2.わかりやすく楽しい授業・基礎学力の問題
3.進路
4.「総合的な学習の時間」と地域(づくり)学習

第2章    学校の在り方・意味を問い直し、学校を豊かにするための諸課題
1.いじめ
2.不登校問題
3.障害児教育
  @ノーマライゼーションの理念を定着させるには
  A専門性の確保
4.部活動のあり方の見直し
5.ジェンダーフリー

第3章    学校施設の充実

第4章    家庭支援
1.外国籍の子どもなどへの支援
2.幼児期の子どもを持つ家庭への支援

第5章    PTAの活性化のために
1.PTAの本来の目的・役割の共有化
2.学級PTAの充実
3.PTA事業の見直し

第6章    子どもが豊かに育つための地域づくり
1.子どもと地域との関係
2.大人と地域との関係

第7章    開かれた学校づくり
1.保護者・地域に開かれた学校づくり
2.学校協議会のあり方

第8章    教員が元気になるための学校づくり
1.教員が元気になるための学校経営
2.教員が元気になるための勤務条件

第9章    開かれた教育委員会
1.教育委員会制度の意味と現状・課題

第10章   鶴ヶ島らしい学校づくりのための指針
1.子ども・保護者・教職員・地域住民の願いに立った学校評価のあり方
2.説明責任について

3.当事者の声を尊重

 このように、当事者の意見を反映する、当事者を中心にした教育改革を進めようとしているということが、鶴ヶ島の教育改革の基礎になっています。

4.学校協議会

 それぞれの学校に、子ども・保護者・教師・地域の人々が集まって開かれています。子どもも入れるということが鶴ヶ島の特徴ではないかと思います。

私が学校協議会をいいなぁと思うのは、子どもの声を入れるということと、開かれた学校づくりという視点と、評価ということに関係すると思います。松戸市の教育改革の中では、学校評価ということがしきりに言われていて、その学校評価の一つのやり方として学校選択制が言われています。学校を選ぶことになれば、選ばれる学校になるためにつまり評価を受けるために、学校が緊張してそれなりに頑張るだろうということを教育委員会は考えています。そういうふうな外部評価、競争させる評価ではなくて、それぞれの学校が抱える課題について、互いが顔を見合わせる場で話をして、総括をし、次年度へのステップを決めるというようなことの中に本当の評価があると思います。そのことを市民懇話会の中で私はずっと主張してきたのですが、なかなかこれは受け入れてもらえませんでした。

 

5.教育委員会のリーダーシップ

 鶴ヶ島市ではこのような教育改革を進めていますが、現実には教育委員会のリーダーシップがあるのだろうと思います。松崎教育長のようなすぐれた指導者がいて、自分が表面に出て引っ張っていくのではなくて、教員や子どもたちが自発的にやるように条件整備していく。そういう意味でのリーダーシップがあるのだろうと思います。

 それから、教育委員会の広報紙が素晴らしい。この広報誌はすべての家庭に配られていて、費用が大変だと思うのですが、配布するには、地域に配布委員がいるのだそうです。年4回発行されています。これを見ていくだけで、現在の教育改革がどこまで進んでいるかということがわかるようになっています。

 鶴ヶ島市の教育基本方針の中にも鶴ヶ島高校のことが出てきます。推測するに、鶴ヶ島高校は新設校で、あまり学力的に高くない子どもたちが行く学校らしいのですが、でも地域の学校としてこの高校を育てようとしているというのがよくわかります。鶴ヶ島高校の生徒を非常に大切にして、彼らの活動をいつも広報紙に取り上げています。学校を中心にしてまちづくりをしていこうということが、高校に対するまなざしにも表れているなぁと思います。

現在の松戸市の教育改革と比べると、非常にはっきり見えるのですが、鶴ヶ島の教育改革は、まず市民を非常に信頼していますね。

【参加者の話し合いから】

Q)教育審議会は、設置条例を見ると、教育委員会の諮問機関としておかれているのですね。教育改革についての最終的なまとめが出たらそれで終わりということでしょうか。

A)次に、また具体的な諮問が出てくるのではないかと思いますが。

Q)時限的に設けられた審議会ではないということですね。

A)そうだと思います。委員の任期は2年ですが。

     鶴ヶ島市の教育改革のテンポ・スピードを考えると、松戸の教育改革の「迅速かつ果敢に」「改革はスピードが命」という姿勢は、まるでファーストフード化してますね。今日古ヶ崎南小での説明会に行ってきたのですが、お母さんたちが小規模校の良さを自分が参観した授業や、普段の子どもたちの交流を見て、とうとうと言うわけです。福岡の方から転校してきたお母さんは、前の学校は800人規模で、授業参観の時も教室の中に保護者が入りきらないし、先生の声も聞こえなかったと言います。古ヶ崎南小に行ったら、我が子の学級でなくても見ていいですよと先生が言うし、授業を見ていると子どもたちと同じプリントを渡してくれて、「お母さんたちも一緒に考えてくれませんか」と言われる。先生たちもごく普通の声で話していると。

     松戸市の教育改革市民懇話会の委員の人たちは、一回も学校現場に足を運んでない。今の教育委員の人たちも、一回も足を運んでない。実態調査も全然していない。それで教育長は、「教育改革=学校統廃合と、松戸市版教育改革が印象付けられるのはとても遺憾だ。もっと総合的に考えて作ったものだ」という。どこが総合的なのかと思うが、考えてみれば文科省や市の財政など、行政側の論議を総合的に考えてということなのだろう。私たちが考える総合的に考えてというのは、アンケートをとったり、実態調査をしたり、先進地域に視察へ行ったりというふうにして、それらを総合的に考えるということ。それらをしないで立てたプランを、市議会の意思が一定得られたという形で「粛々と進めます」と説明している。聞いていて腹が立ちます。

     市民懇話会の話でも、学校選択制についてはその危険性を指摘する声があって、「さらに検討しなければならない」としているのに、検討した形跡がない。適正配置についても、市民懇話会で話し合うのかと思っていたら、「それについてはもう答申をいただいています」と切られてしまった。適正規模・適正配置はこの懇話会の話題ではないと私は受け止めました。わたしはとても裏切られた気持です。

     台東区では、「このように統廃合します」と区民に知らせたうえでアンケートをとっています。松戸市でもそのようなことをするべきではないかと訴えたのですが、「ああなるほど」と言うだけ。「審議会で一定の報告を受けました」と市教委は言うけれど、その報告が出たことをほとんどの市民は知らない。広報紙で知らせてないのですから。

     幸谷小の増築を4億円かけてやっているでしょう。増築案が出た時になぜ学区の検討をしないのだと私は言いました。統廃合の話が出てきている時に、なぜ増築するのかと。幸谷小の学区は子どもが相当増えると答えていました。

     幸谷小の学区を決める時は、相当もめたそうですよ。学区の線引きは確かに難しいらしいです。どこに線引きしても必ず問題になるんですって。

     線引きが難しいと言っても、それを話し合っていくために学区審議委員会というのがあるのではないですか。あまり開催されていないと聞きましたが。

     根木内東小の学区の線引きをする時に、PTAの方で、地元町会の人たち皆と話し合いをして、線引きについては教育委員会に迷惑をかけない、ちゃんと話し合いでやると言いました。今後何年間新入生がどれくらいいるだろうかということまで全部調査しました。いろいろな意見が出ましたけれど、最終的には過密を解消する方が大事だからというみんなの合意ができて、それでしっかり線引きできました。

     今回もそういうことをすればいいのですよね。学校を廃校しないという一点で合意して。

     市教委に住民参加の視点があれば、できるはず。地域の住民が皆集まって、どこに線引きしようかと話し合えばいい。密室の中で線引きしようとするから大変なことになってしまう。

     小金中学校は、入学希望者が35名(1学級)なので、来年度は全校で7学級になる。教員は学級数+増置と、学級の数に応じて配置されるので、14人(校長・教頭を除いて)になってしまいます。今は20人。6人減ることになります。保護者が心配するのは、教科教育が成り立つのかということ。二つ目が部活。三つ目が子どもの人間関係。少ないことの良さもあるのだけれど。

     統廃合対象校に限っては、柔軟な対応をするといっているので、小金中の入学希望者は今後も減る可能性がある。いつまでたっても入学者数が確定しない。入学式というのは喜びの日ですよね。なのにその日ふたを開けてみたら、1人しかいなかったなんてことになったら最悪ですね。

     市民を信頼していないところから、ボタンのかけ違いが始まっている。最初から信頼して、市民を入れて話し合いをしていれば、議論の途中で解決できた問題もいっぱいある。

Q)鶴ヶ島というのは、閉塞状況があって教育委員会が活性化してなかったから松崎教育長がリーダーシップをとってこういうことができたのか、それとももともと教育について先進的な風土だったのでしょうか。

A)太田政男さんの話によると、松崎さんは社会教育の分野でかなり実績のあった方です。鶴ヶ島の図書館はすぐれた図書館で、市民一人当たりの貸し出し数で全国で指折りのところです。

     社会教育の充実したところということですね。

     今度教育大綱の中間報告会をする会場は、鶴ヶ島郷学の森という新しい施設。公民館と図書館、児童館、学童保育所が一緒になった複合施設。財政難の時代にこんなステキな施設がなぜつくれるのかと思います。

     こういうところにお金をかけられる自治体というのは、すごいなぁと思います。やっぱり市長ですかね。 

≪鶴ヶ島の教育審議会のような形の市民委員会を作ることができないか≫ 

     市長が変わらないと市民は何もできないのでは困る。松戸市のパートナーシップ検討委員会の最終提言の中に、なぜ市民参画がなければいけないのかということも書かれています。これまでの行政は住民の思いや感覚とずれたところにあって、どうも行政だけでは住民本位の松戸をつくっていかれない。その中で市民委員会の設置というのを提言しています。これは総合計画をつくっていくためという時限的なものとして考えられているのですが、鶴ヶ島の教育審議会のような形の市民委員会を作ることができないかと思います。鶴ヶ島の教育審議会の話をすると、松戸市の教育委員会の人は、「あそこは人口が少ないから。松戸とは規模が違う。小さいからできるんだ」というようなことを言います。でも、大きくてもできるやり方はあるはず。教育委員会に任せていてはダメ。私たちでこういうしくみを作りたいという具体的な提案ができるようにしていきたい。

     パートナーシップ検討委員会の最終提言の中でも触れている「パートナーズ応援団」というのを今立ち上げようとしています。そこで、これから松戸市がつくろうとしている「パートナーシップ条例(仮称)」づくりにも関わっていきたいと考えています。

     教育改革に期待するものが人・立場によって違うので、全面的に市の案への対案として、市民の考える教育改革案を出すのはむずかしいと思う。でも、自分のこの立場で考える、この部分での教育改革はこうしてほしいというものを持ち寄ることはできる。それをできないかと思う。

     教育改革アクションプランには、施策によってサンセット方式、PDCAマネジメントサイクルの採用をするものがある。学校選択制はサンセット方式とPDCAを採用している。平成16年度から5年間のサンセット方式。加えて、毎年評価活動を行って、改善点を反映していくとある。いったいどんな評価・審査をしていくのかわかりませんが、そこに市民を参加させろということもできるのではないか。

     生涯学習基本計画は平成19年度までの5ヵ年の計画。その次の計画は私たち市民でつくるという取り組みができるといい。

     市民懇話会の中間報告の後、市民のシンポジウムをやりましたが、ああいう形でシンポジウムを重ねながら、プラン作りをしていったらどうかと思います。

     市民懇話会委員の時つくった私案の中に『学校協議会』というのがあるのですが、その時念頭にあったのは、小金北中学校地域コミュニティ会議。地域の組織としてきちんとあるのですから、そこが学校と一緒になって学校協議会のようなものになっていけば、そこが一つのモデルになって、他の学校に広がっていくのではないかと思いました。少し足がかりのあるようなものを使いながら、私たちのプラン作りをしていきたい。夢を追うだけで終わらせたくないですから。そのためには当事者が語るということが重要。

     学校というのは閉鎖的になりがち。教員は学校の外の人に対し警戒的なんです。それは歴史があって、何かあると「学校が悪い」と指弾された時期があって、それに対し警戒するということがあります。そこをどうやって突破していくか。教職員と保護者の信頼関係をつくっていくということが、個々の学校でまず足りない。

     教育委員会の人って、とぼけているのか、本当にわかっていないのか。「学校選択制することによって保護者の学校参加が進む」というんですね。行事の手伝いは参加とはいわないですね。神さんの考えている参加は、学校協議会でいろんな施策についても保護者や地域住民の意見を聞いて、それを何らかの形で学校の教育に反映するというもの。

     選んでもらうように学校は頑張る。親のほうは選んだ以上その学校に協力する。そういう意味の参加。

     地域住民の学校参加も同じ。ボランティアとして学校の手伝いをする。学校の運営について参画するという視点は全くない。

     一緒にやっていこうという時には、決まる前から情報を共有するということが必要だが、市教委は情報公開も説明責任も、すべて決まってからのこととして考えている。それで説明責任を果たしたと考えているし、決まってから説明することで情報公開したと考えている。

     しかも教員は、何の説明を受けなくても協力するという態勢でなければいけないと考えている。何も説明しなくても、黙って言う通りにしていればよいということ。

     教育委員会は、今まで教員がものを言うことを嫌ってずっと押さえ込んできた。教科書問題もそうだけれど、与えられた教科書をいかにこなしていくかが教師としての力量、その程度にしか考えないようにさせられている。自分なりの教育信念を持って、こういう行事をやりたいとか、こういうふうに総合学習をやりたいとか出しても、だいたい潰されてしまう。そういう積み重ねで、言ってもしょうがないと思ってしまう。

     市民が参加して作った「パートナーシップ検討委員会」の最終提言だが、統廃合対象校のお母さんたちが、広報の特集号を見て「しらじらしい」と。「何なの?」という感じ。

     あの委員会は、松戸市のこれまでの委員会と違って、スケジュール管理から最終提言の文章化まで、公募の市民委員が中心になって行った。その委員会の最終提言を出したのが10月26日。そのさなかに教育改革があんな形で出されたので、「何なの?」とよけい私たちも怒るわけです。

     二枚舌、ダブルスタンダードですね。

     「安全・安心条例」も同じやり方。それにその中には、責務として市民の協力も入っている。例えば、町会が防犯パトロールをするから来いと言ったら、市民の責務になってしまう。それこそ自警団に協力しないのは非国民みたいな感じになってしまう危険性もある。そんな条例がスッと通ってしまう。

     パートナーシップ検討委員会の最終提言をぜひ生かしてほしい。それを形にしていくのは私たち市民の力。