2003年3月例会報告
松戸の教育予算はどうなっている?

 松戸市議会3月定例本会議で提案された平成15年度予算案をもとに話し合いを行いました。

松戸市の平成15年度一般会計は11331000万円(前年度比179000万円1.6%増)。そのうち教育費は1397803万円で、歳出全体の12.3%となっています。

教育費の内訳は下記の通り。 

教育総務費

1,959,696,000

教育委員会費

7,324,000

事務局費

1,685,795,000

教育研究指導費

226,452,000

林間学園費

40,125,000

小学校費

3,062,311,000

学校管理費

2,194,910,000

教育振興費

602,163,000

学校建設費

265,238,000

中学校費

1,442,516,000

学校管理費

1,049,492,000

教育振興費

355,472,000

学校建設費

37,552,000

高等学校費

788,784,000

高等学校管理費

742,810,000

教育振興費

45,974,000

幼稚園費

683,064,000

幼稚園費

683,064,000

社会教育費

2,937,797,000

社会教育総務費

1,433,947,000

公民館費

36,946,000

図書館費

339,285,000

文化財保護費

26,418,000

青少年指導費

102,829,000

社会教育施設費

827,059,000

博物館及び美術館費

171,313,000

保健体育費

3,103,862,000

保健体育総務費

476,608,000

学校給食費

1,994,782,000

体育施設費

632,472,000

 

主な事業の予算額 

基礎学力再履修事業費

2,548,000

義務教育で学習する程度の学力を身につけたい人を対象とした夜間講座を青少年会館で開催する。

教育ネットワーク関係経費

23,066,000

教育情報センター設置

スクールカウンセラー

関係経費

14,302,000

これまで12校に配置してきた中学校カウンセラーを21校全校配置に

コミュニティスクール

推進事業費

1,217,000

学校を拠点とした地域づくりを推進するため、コミュニティスクールについての研究調査を行う。実践研究の場としてサタディーコミュニティスクールを実施。

「心の教育」推進事業費

300,000

心の教育の大事さを啓発するため、一般市民を対象としたフォーラムを行う。

小中学校校舎等大規模改造耐震事業費

429,670,000

高木第二小学校、常盤平中学校

幸谷小学校校舎増築事業

234,300,000

児童急増による、校舎増築工事

小中学校教育用

コンピューター関係経費

394,195,000

コンピューター教室にパソコンを現在の22台から42台へ。(小学校14校→25校、中学校7校→14校)

小中学校給食

磁器食器購入費

5,600,000

4

食器洗浄機等備品購入費

28,000,000

 

小学校給食調理委託料

73,015,000

4校(中部小、松ヶ丘小、馬橋小、横須賀小)

中学校給食調理委託料

343,624,000

19

 

その他、図書館の図書購入費70,357,000円、おはなしキャラバン関係経費66,962,000円となっています。 


突出しているコンピューター関連予算

 教育予算の中で、突出している感じを受けるのはコンピューター関連の予算です。各小中学校のコンピューター教室のパソコンを22台から42台増やす事業を毎年行っているようですが、その費用に今年は4億円近くの予算が配分されています。市立高校の教育用コンピューター関係経費の1233万円を加えると4億円を超えます。これまでも教育用コンピューター導入に、平成12年度には31000万円、平成13年度に35560万円かかっています。

昨年「松戸にも30人学級を実現する会」で試算した時は、松戸市内の小学校12年生に30人学級を導入するのに必要な予算は、26800万円でした。コンピューターを22台から42台増やすのをやめれば、そのお金を12年生の30人学級にあてられます。どちらが大事でしょうか。コンピューターの授業は週に何時間あるのでしょうか。子どもにとって何が大切かを考えれば、子どもたちが多くの時間をすごす場であるクラスを、少人数学級編成にすることが優先されるべきだと思います。

 学校教育にコンピューター教育が本当に必要でしょうか。必要だとしたら、現在のようなコンピューター教室にパソコンを置いて、その場所でパソコンの使い方を学習するようなやり方でよいのでしょうか。

昨年、三春の小・中学校を見学した時、パソコンはオープンスペースにおいてあり、いつでも子どもたちが自由に使えるようになっていました。授業で必要になった時、コンピューター教室へ移動しなくても直ぐにパソコンを使うことができます。いつでも自由に使えるので、人数分のパソコンがなくても、みんなが交替で使うことができます。子ども同士、教えあうこともできます。パソコンを学ぶのではなく、学習を広げるための道具としてパソコンを使うことが大切なのではないでしょうか。コンピューター教室を整備するのではなく、各教室にパソコンを1台ずつ置いておけばよいのではないでしょうか。

 情報を得るのなら、インターネットからではなく、直接人と会って話を聞く、現地を直接見るというような、直接的な関わりの中から情報を得て学んで行くことが、小中学生のうちは大事なのではないかという意見もありました。

 

教育改革市民懇話会の最終報告を踏まえた予算上の対応

221日に出された教育改革市民懇話会の最終報告を踏まえた予算上の対応としては、@「心の教育」推進事業費(家庭や地域の教育力の活性化を目指し、市民フォーラムを開催)に30万円。

Aコミュニティスクール推進事業費(サタディーコミュニティスクール)に1217千円。

B基礎学力再履修事業費(青少年会館での夜間講座)に2548千円。

この3点です。

これらがどのように行われるのか調べていませんが、しっかりと見ていく必要があると思います。また、来年度に向けて、どのような教育改革のアクションプランを作っていくかを注意深く見守っていきたいと思います。

 

小学校給食調理業務の民間委託について

4月から、中部小・馬橋小・松ヶ丘小・横須賀小の4校で、学校給食の調理業務が民間委託されます。これについて保護者への説明会が行われたのは、3月初め。そして3月議会で可決されて、4月から実施と、あまりにも一方的なやり方に唖然としています。議会でも可決されたとはいえ、すべての会派から、市民や議会の理解を得ないで強引に進めるやり方に異議が唱えられていました。

将来的には松戸市内の全小学校で民間委託にするつもりのようです。なぜ民間委託するのでしょうか。経費削減(人件費の削減)が理由のようですが、民間委託にしたらどれくらいの経費削減になるのかというデータは全く示されていません。

現在中学校給食は、2校が直営方式で、残り19校が民間委託です。今回小学校で実施される民間委託も、中学校と同じ方法です。中学校給食の民間委託の実績があるから、市民の理解は得られているというのが、松戸市教育委員会の認識です。だから、改めて市民の理解を得る必要はないというのでしょう。現在中学校で実施されている民間委託の検証をしたでしょうか。2校の直営校との比較、検証、評価という作業をするべきでしょう。その結果を市民に公開し、説明する責任を果たすべきです。そうした作業を教育委員会は行っていません。

 学校給食調理業務の民間委託については、様々な問題点があります。

民間委託で、・給食の安全性は保たれるのか、・調理業務の管理やチェック体制はどうなるのか、・栄養士への負担が増えるのではないか、・学校行事などにも参加し、子どもたちとのつながりを持っていた調理職員が、ただの給食の作り手になってしまうのではないか、・責任の所在があいまいになってしまうのではないか、色々な不安・疑問がわいてきます。

 中学校給食も含めた学校給食のあり方を、もう一度私たちも考えていく必要があると思います。そうしたことから松P研5月例会は学校給食をテーマにすることにしました。 

 最後に、松戸市の教育予算を見ていても、明確な教育理念が見えてきません。子ども・教師・父母不在で決められた施策ばかりにお金がかけられているような気がします。目に見えないところに、行き届いたきめ細やかな予算措置をしているとは到底思えないのです。私たちは納税者として、そのお金の使い方には十分な関心を払っていかなくてはならないと、改めて感じた例会でした。

(まとめ:浅井ゆき)

 


小学校給食調理業務民間委託について

松戸市教育委員会保健体育課に聞きました

Q)献立は誰が立てるのですか A)これまで通り、栄養士です。
Q)食材は誰が発注するのですか A)発注書の作成と発注業務についても、これまでどおり栄養士が行います。
Q)調理作業に栄養士は関与できるのですか A)栄養士は調理指示書で指示を出します。直接指示することはできません。途中味見などはします。
Q)委託業者の選定方法、選定基準はどうなっていますか A)給食について氏名参加登録した会社で、学校給食・集団給食の実績がある会社が25社ありますが、そのすべてを指名して、指名競争入札を3月20日に行いました。契約は4月1日に行います。2校で1つの契約です。2・3年目は特に問題がなければ同じ業者で、3年たったら、また指名競争入札を行います
Q)委託業者の作業についてのチェックは誰がするのですか

A)各学校現場で業者評価を行います。決められた12項目について、栄養士を含めた学校側がABCの3段階で評価します。

Q)なぜ民間委託するのですか A)平成7・8年からの松戸市全体の職員削減計画の一環として、調理員の採用を平成11年から補充しない方針で来ています。それまでは退職者が出たら補充という形で職員の採用を行っていました。今年は定年退職者が多数出て、職員数が大幅に減少。そこで4校の調理業務を民間委託することにしました。民間委託できる業務については民間委託していくというのが市全体の方針です。
Q)どのくらいの経費削減になるのですか A)調理員の採用を担当しているのは、教育委員会企画管理室。詳細については企画管理室に問い合わせてください。