4月例会報告
ボーダーライン学級問題解決へのとりくみ
―少人数学級の実現を願ってー

【常三小 村野さん】

貝の花小学校は40人学級のボーダー、河原塚小と常三小は38人学級のボーダーです。そこの違いは、私たちも運動してみて初めて知ったのですが、学年の人数が115名以上の1・2年生に38人学級が適用されるということです。1学年115名以上というのは大型校なので、松戸市で38人学級の対象になるのは河原塚小と常三小と、殿平賀小の3校だけです。

常三小は、2月の時点で人数が足りなくなって113名になっていました。2名足りないということで、学校から「クラス解体です、県から言われているのでしかたがない」と説明がありました。それまで27・8人の4クラスでやってきて、子どもたちの落ち着き具合は全く違うものでした。2学期の授業参観の時、先生が板書をして、子どもたちがそれを写す。その写している所を、先生が一人一人きちんと書けているかチェックをしてまわっても、1時間の授業でやることがおさまっている。3年生と6年生の上の子のクラスは36〜38人の学級ですが、そのクラスの様子と歴然とした差を感じました。少人数学級の良さを知ってしまいましたし、やっと学校になれた子どもたちをそのまま同じクラス、同じ先生で進級させることが、子どもたちが安心して伸びていける大切なことだと感じました。そこで、1年生のお母さん方や先生方と話し合い、「やれるだけのことはやってみよう」ということで、署名活動を始めました。

 その時に、貝の花小でも署名活動を行っていることを知り、また河原塚小の方からも連絡が入って、3校合同のとりくみになっていきました。このめぐりあわせがとても大きな意味を持ったと思います。3校ばらばらの署名用紙を持っていたので、お互いに渡しあって、出来るだけ広めることにしました。最終的には3校あわせて2万筆程度の署名が集まりました。


私たちが払っている税金はどこへ行っているのか

市教委の対応は非常に絶望するようなものでした。私は市教委へ行けば何とかなると甘い考えでいたのですが、「ここじゃないぞ」と思いました。次に県教委へ行きましたが、「ここも違うな」と思いました。話しても、子どもや親に近寄ってくれるわけでなく、とにかく「予算がない」と言う。私たちが「予算がないのはわかっている。少人数学級にするのにお金がかかるのもわかっている。でも、私たちが払っている税金はどこへ行っているのか」と言うと、向こうも返す言葉がありません。要するに、どう使うか。その使い方、やりくりの問題なのではないか。38人学級の持ち上がりに関する3800万円という予算が削られているということを、活動を始めてから知りました。

県議会の教育民生常任委員会や、市議会の教育経済常任委員会などを傍聴しましたが、ビックリするような所にお金を使っているのです。市では、戸定邸に徳川家の財宝を買うために1億7千万ぐらいを出すことがスッと決まってしまう。県の教育経済常任委員会では、教育に関することになると議員が皆寝てしまう。討議・討論をするのは教育のことを一生懸命やってくれる一人の議員だけ。他の議員は何も言わない。それなのに、採決になると目を覚まして、手を挙げる。こんなに簡単に決まってしまうんだと、衝撃を受けました。だから、私たちは市教委や県教委にチョコチョコ顔を出そうと思い、足しげく通いました。

 3月24日の修了式の時点で、貝の花小が81名になり、そのまま3学級でいけることが決まりました。3月31日には河原塚小が115名になり、38人学級の規定数を満たしたため、持ち上がりが決まりました。しかし、常三小は更に減って111名。県教委からは「始業式までの人数の推移を見る」という答えしか返ってきませんでした。非常に切羽詰って、ずっと一緒に動いてくれていた県議に連絡しました。その県議が教育長不在のため、堂本知事に直接電話したところ、知事はこの件については何も知らなかった。署名が提出されていることも、いくつもの学校がボーダーで困っていることも、何も知らなかったそうです。その議員さんはビックリして、今までどれだけ私たちがどのように活動してきたかをすべて県知事に話してくれました。その後、すぐ堂本知事から「どうにかなるようにしておきましたので、松戸のお母さんたちに安心するようにお伝えください」という電話があったそうです。これが4月1日のことです。

 4月3日県教委に確認に行ったところ、担当の人にこう言われました。「今からおろします。明日来てくれたら、皆さんがお礼を言いたくなるような結果が待っていると思います」と。

 こうして常三小もそのまま持ち上がりでいけるようになりました。でも学級が増えたら、担任の先生もちゃんと配置されると思っていましたが、それがないのです。学校の中の、たとえば音楽の先生や教務主任の先生をあてがいなさいということです。そういう条件でした。この件についても要望したのですが、結局はダメでした。その代わり少人数指導の先生が2人(去年はゼロでした)配置されました。河小にも少人数指導の先生が来たのですが、その先生は教務主任とスイッチして、担任を持てました。常三小の少人数指導の先生が担任を持てない理由は、「講師は年度初めから担任を持つことは出来ない」とのことです。 


一番大切なのは、私たちが声を上げること 30人学級も夢じゃない!

要求が通ったのは嬉しいのですが、当たり前のことなんだから、通ってあたりまえじゃないかと思っています。だから県教委にお礼を言うつもりもないし…。一番大切なのは、私たちが声を上げることだと思います。皆結構ボーダーで悩んでいると思います。中学校でも40人ギュウギュウ詰め込んで、大変だという状況を聞いています。子どもは自分たちで「少人数学級にしろ」と言うことはできませんから、いかに親が声をあげていくかということしかないと思います。行政は親が怖いんです。

それと、市は県の意向に沿って動くということがわかりました。県の意向がとても強くて、そこに刃向かえないのだと感じました。そして県教委は県議の言いなりです。あそこで寝ていた県議会議員たちがしっかり考えてくれないとダメなんだなと。県議会議員をちゃんと選ぶことが大事なんだということに行き着きました。ちょうど県議選の時期だったので、お母さんたちに「投票に行きましょう」と呼びかけました。誰が自分たちの子どものことを考えてくれるかを見極めて、ちゃんと選びましょうと。

今回のことで、いっぺんですぐには変わらないということがわかりました。こういう地道な積み重ねで変わっていく。ボーダーでそのままあがったのも一歩。先生がつかなかったけれど、これは次の一歩。こういう一歩をどんどん積み重ねていくことで、最終的には少人数学級が実現するのではないかなぁと思います。これは夢じゃないと思いました。大型校だから、小規模校だからと線を引かれて、40人学級と38人学級にわかれるというのは絶対に違う。子どもは皆同じ。

 他のボーダーで困っている人たちの声もどんどんすくって、一人ではできないけれど、いっぱいの学校だったらできるんだということで、どうやってこれから広げていこうかと考えているところです。 

【貝の花小 会田さん】

 一年生に入学する前から、3回ぐらい入学確認の問い合わせがありまして、スタートからハラハラ状態でした。夏休み前には人数が減ってしまったのですが、「2年間はこのままで行きたいよね」ということで、話し合いを持ちました。11月に全員の保護者に「もしかすると2年に進級する時に学級減になってしまうかもしれないけれど、皆さんどう思いますか」というアンケートをとりました。大部分の方から返事をもらいまして、その中の9割以上「このままが良い、1クラス40人では心配だ」という声があったので、動き出しました。1校で要望に行くと、「一校だけにそういうことはできない」と言われてしまうので、他にもいくつかあるボーダーの学校から、どこか声を上げてくれないかなぁと待っていました。

 自分たちだけだと、自分たち内部の「そんなに大騒ぎしなくても大丈夫ではないか」という声に負けそうになったのですが、その時にエネルギッシュな2校の協力を得て、「県まで来ちゃったなぁ」という感じでした。今回取り組んで、自分たち親がやるしかないんだということを強く感じました。

 今度上の子が栗中に入ったのですが、37人の3クラスで、こっちの方が大変だったのではないかと思いました。でも中学ではタブー視されているのか、声が上がりませんでした。小・中学校あわせて、「おかあちゃんたちをバカにするなよ」という運動を起こすしかないと感じました。 

【河原塚小 飯沼さん】

今4年生になった子どもが、1年生から2年生になる時は まだ115人以上38人学級が適用されていない時期でした。1年121人4クラスでスタートしたのですが、2年にあがるときに人数が減ってしまったので、クラス解体され、40・40・39人の3クラスということになりました。この時に、声を張り上げて、後ろの子どもたちに声を伝えようと頑張っている先生方の姿を見ました。あるいは、運動会にお手伝いに行ったら、子どもたちがそれぞれバラバラなことをして、お母さんたちが一生懸命手伝っても声が届かない、聞いてもらえない。こんなに話の聞けない子どもたちになっていたのかという感想を耳にしました。私は何とかしたいと思ったのですが、PTAの役員から「校長先生を困らせないでね。それからPTAは絶対絡めないでほしい。やるなら、有志でやってちょうだいね。」と言われました。

 「何かしたいよね」と言うお母さんたちで集まろうと思ったら、学校の中で集まることはダメと言われてしまう。集まっていることが悪いようなイメージさえ学校の中ででき上がってしまったように感じました。悪いことしているわけでもないのに「外で食事に行くんだけど、どう?」というような呼びかけに、多くのお母さんたちが集まりました。子どものために何とかしてあげたいというお母さんたちの気持ちをそこで萎えさせてしまいたくなかった。そこでだめになってしまうと、まだやっと1年生でこれから長いのに、親が学校に対してあきらめる形になってしまう。そんな形で終わりたくないと思って、校長先生・教頭先生に、思いのある親が何度も何度も話に行くうちに、やっとわかってもらって、でもそこが限界でした。署名の話もありましたが、そこに踏み出せなくて終わってしまいました。でもその時にどうしても1つだけ約束してほしいと校長先生にお願いして叶ったことが、TTをこの学年につけるということです。その年はそれで終わりました。

 次の年、また同じように1年生が2年生になる時に、ボーダーに引っかかってしまいました。その時には、学校側の構える姿勢が抜けて、署名まで何とかこぎつけることができました。なのはなミーティングが開かれましたので、そこに代表が駆けつけて、堂本知事にお手紙を渡しました。その時に115名以上38人学級が適用されたので、その学年はそのまま持ち上がることができました。

 「ああよかったね」と言っていたら、今度は私たちの子ども1年生が115名38人学級のボーダーに引っかかりました。以前のような思いはしたくないと強く感じましたので、とにかく署名だけは去年もしていたからと、その日のうちに話を決めました。

 動き出すに当たって、常三小・貝の花小と連絡が取れましたが、自分たちだけでは本当にどこまでできただろうかと。3校だったから、ここまでできたと思います。

 その年その年 終ってほっとすると、継続させていくのは大変難しい。それに、有志の活動でしかないので、学校の中で引継ぎができないのです。継続させていくためにも、申し送りのように、話を伝えていけるといいなぁと思っています。何より関心を持ってほしいと思います。先程会田さんも言っておられましたが、中学校では、1クラス38・9人でやっています。中学の2年から3年になる時に、人数が足りなくて学級減になっていましたが、なぜ声を上げないのだろうと思いました。「問題のある子たちと同じクラスの子は、クラス変わった方がいいから」という声を聞いて、中学校って複雑だなぁと思いました。 

【青木先生】

 今回のお母さんたちの運動には、われわれ教師がとても励まされました。村野さんが先程言われていましたが、「あたりまえのことをしているのであって、悪いことをしているわけではないと。」実際には、教育条件改善のための署名を集めるときにも、教員がそんなことをやっていいのかとか、学校でそんなことをやっていいのかという攻撃がなくはありません。そういう中で、ともすると「本当にやっていいのかな。またそんなこと言われるのイヤだな」と一歩ひいてしまうこともあります。でもそういう時に、何校かの連携と「自分たちはあたりまえのことを要求しているのだ」という自信・確信を持って向かっていくということについて、お礼を言いたいくらいの気持ちを持っています。それだけのことを皆さんが今回の運動の中で取り組まれてきたのだと思います。

 このくらいだったら大きな成果だと思ってしまいがちですが、でも、38人学級を成果として勝ち取ったけれども、週10時間の先生だったり、週10時間の先生がなかなかつかなかったり、あるいは講師の先生は来るけれども担任はできなかったり、様々な問題があります。それを一歩また乗り越えていくためにも、より一層協同の力を示していく必要があるとも感じています。

 小学校1年生のときに38人学級だったけれども、2年生になる時に115人より少なくなってしまったので、38人学級になるかどうかという学校が 県内に10校あったのですが、今回松戸で起こった運動の結果、他の学校も救済されました。自分たちの学校がよければいいと思ってこの署名を集めているのではないということが大きな力になったと思います。貝の花小が署名を書いたときに、自分たちの学年を何とかしてほしいという要求と同時に、県内のすべての学校で少人数学級にしてほしいという要望をつけたということが、協同を広げたということにもなります。その訴えが県内全体に波及したし、県教委も動かざるを得なかったということになったと思います。

 河原塚小ではずいぶん前にも「学級減にしないで、教師をつけてほしい」という運動を起こしています。長年にわたるいろいろな運動が、消えているようで消えていなくて、ずっとつながっているということが大きいと思います。最近でいえば、「松戸にも30人学級を実現する会」の取り組みも、結びついていると思います。

制度上の問題点

国の役割は、いろいろな法律を定めること。「40人学級を基本とする」と定めた法律。これを変えて、30人学級を標準にしろと国が法律を定めることで、30人学級は一気に全国に広がっていきます。

 教員の身分・採用・給料については、県の役割です。私たちは県費負担教職員といって、県から給料を貰って、県で採用されて、県で人事異動されています。

 市は、教員の服務を監督するという仕事があります。それから学校の施設を作ったり整備したりするのは市の役割です。

国や県や市の役割というのが行政レベルで違ってきているので、自分たちが要求する時には、何の要求をどこに持っていくかを知ることが大切です。でもそういうことを初めから知らなければ運動ができないかというと、決してそうではありません。運動の中でわかっていくことです。自分たちの身近な行政にまず声を届ける、そこからスタートです。運動は大胆にやっていく必要があります。

県教委でやり取りした時に、成田の方で英語教育に力を入れるということで何千億もついているのですが、その一方でこの38人学級については3800万の予算を削ります。村野さんは、「私たち別に英語教育することを否定するわけではないが、この予算のつき方は何だ。私たちの子どもは日本語だってちゃんとわからないのに、私たちの子どもをアメリカ人にするつもりか」と言いました。本当にそうですよね。 

県の人事政策の怠慢のつけを子どもや学校現場に押し付けている

 今回松戸で115名を越えて38人学級になったのは、
馬橋小1年生・小金小2年生・上本郷小1年生・根木内小1年生・河原塚小2年生・旭町小2年生・殿平賀小2年生です。どの学校も10時間講師が1人もついていません。東葛管内では、柏の小学校でついたらしいと聞いていますが、県内どこもそうです。学年初めは一番忙しい時期で、一番必要な時期にもかかわらず、10時間講師が県内どこにも配置されていないのです。これは県の怠慢です。10時間講師というのも問題がありますが、38人学級をやると宣言したのは県なのですから、教師をつけるのは県の役割です。採用される側にしてみれば、10時間講師というのは飛びついてくるものではないのです。こういう雇用のしくみでは10時間講師が集まらないのです。他の先生たちと仕事は全く変わらないのに、1年間常勤で勤務する年間講師もいます。年間講師というのは、半年で一度切られるのです。1日空けて、また半年採用されるのです。なぜかというと、労働基準法や地方公務員法で、6ヶ月を超えて常勤で勤務している職員は、正式に採用しなければならないと定められているからです。正式に採用しなくて済むように、6ヶ月で一度切るのです。給料は、私たち教員の給料と差があります。だいたい月にすると大卒の初任給で3700円違います。少額だと思われるかもしれませんが、金額の問題ではなく、賃金・身分で差をつけられているということです。そして、全く正規職員と同じ仕事をしながら、教員採用試験の勉強をしなくてはならない。できるはずがありません。

ここでも県の怠慢があります。40人学級で計算すると千葉県で何学級必要かというのが出ますが、それに対応する人数は正規雇用しなくてはなりません。定数の中なのですから。それなのに毎年300人から400人が、この定数の中なのに採用されず、講師できているのです。これはずっと何年も続いています。県の人事政策の怠慢であり、欠陥であり、このつけを子どもや学校現場に押し付けているのです。このことは大きな問題にしていかなくてはならないと思っています。

この運動をどうやって次につなげるかということを、今日話し合いができるといいなぁと思っています。すぐにやったほうがいいと思うのは、知事との懇談要請です。 

       

参加者の話し合いから…

     今、堂本知事へ手紙を書きましょうということで、全校に呼びかけています。でも、うちの学校の大きな問題は、PTAがないことです。PTAがないということは、全体会・総会がなく、保護者が一堂に集まる場所がないということです。この問題も1年生のお母さんたちには浸透していますが、他の学年のお母さんは自分たちの友だちにしか知らせることができません。それが集まったら、堂本知事へ直接手渡したいと考えています。

     本来PTAというのは子どもたちのために親と先生が力を合わせる場。30人学級の問題は、まさにPTAが動かなくてどこが動くのかという問題ですよね。

     うちの学校の場合は、4学年続けて、ボーダー学年の問題で同じ思いをした親がいるのです。そろそろPTAが動いていいだろうと思うのですが、「皆が同じ方向を向かないとPTAで取り上げられない」というのが会長からの返事なのです。

     うちでは、この問題は、該当する学年だけの問題ではなく、学校全体の問題なのだと言える場が学校の中にあって、それを伝えたら、「これはPTAがやらないで誰がやるの」と言ってくれる他の学年のお母さんがいました。でも、会長はまだ動けません。私たちは連Pまで持っていきたいという思いがあるのですが、学校内では印刷代から活動費、話し合いに使う会議室を使うことも承認されて、堂々と活動ができましたし、総会でも報告するつもりでいます。

     PTAで取り組めればもっと大きな力になると思います。さらに連Pで取り組むことができれば、30人学級はすぐに実現できると私は思っています。ぜひ、連Pにも働きかけをしてほしいと思います。

     今年1学年75人以上のところが、本当は38人学級になるという予定で3800万円の予算が上乗せされるはずでした。それがカットされてしまいました。1学年2学級の学校で40人ぎりぎりのところが、結構あるはずです。小さい学校ほど増置教員の配置基準が少ないという問題もあります。そういう状況を調べて、働きかけるといいと思います。私も以前学級減になったクラスを持ったのですが、それまで30人ぐらいだったクラスから40人になって、子どもはその密集状態になれていないので、密集状態に慣れるのにとても時間がかかるのです。最初から40人学級だと、こんなものだと慣れているのですが。密集状態になった中で、子どもは人間関係を作らないといけないから、トラブルがとても増えます。でも、そういう時、少人数学級が良いという運動にならないで、担任の指導の問題と見られがちです。

     10時間講師が来るということは、だいたい教務主任が担任に入るということになります。そうすると教務主任の仕事が他に回ります。他の教師の仕事も増えて、他の学年にも当然影響が出ます。講師の配置では、いろいろなところにひずみが出てくるのです。やはりきちんとした先生の配置をという運動をしていかないといけない。

     こんなに少人数学級が良いという動きが強まっているのに、国はそれを少人数指導という形にすり替えてきています。少人数指導で結構の人数が配置されているのを、少人数学級に回せばもっといいのです。とても危険だと思うのは、少人数指導という名のもとに習熟度別学習というのを持ち込んでいるのです。少し前だったら、「そんな差別はやめて」というものすごい声が起きたと思うのですが、少人数指導ということで持ち込まれるとすんなり入ってきてしまっている。そうではなくて、少人数学級にして皆が理解できる指導をすべき。それが教育基本法の理念だと思う。

     少人数指導というのは勉強だけなんですね。それも1教科。家では、勉強だけではなく、集団生活で子どもをどういかしていくかということを学校に求めている。少人数指導ではそれは実現しない。

     親から見ると、先生は皆先生。10時間講師だとか、担任を持てる先生なのか、全然わかりません。そういう事情というのを、先生方が伝えるということをしてほしい。職員室の中が大変という現状を伝えてほしい。

     うちの学校では、校長が「学校の中で先生のやりくりができるからいい」と言ったらしいのです。事実、今までコンピューターを教えていた先生が担任に入った。では、コンピューターを教えるのはいったい誰なのか。先生方もそれを良しと思っているのか。それが疑問。先生方から「私たちはこんなに大変なのです」ということを言ってもらわないと、親は「担任いるから大丈夫なのだな」と思ってしまう。先生と親の意思の疎通が上手くいかないと、微妙にずれていってしまう。

     校長・教頭は2年程度で転任してしまうし、先生方だって6・7年したらいなくなってしまう。ずっと残っているのは私たち親。私たちの気持ちが最初に前に出なければ、変えることはできない。先生におんぶに抱っこではダメだと思う。お互い対等なつながりを大事にする姿勢でいけたらと思います。

     今うちの学校は5年生が81人です。1人の子が週1日よその学校に通級しているために、その子の籍が抜かれてしまいます。ですから80人とカウントされて、2学級。お母さんたちにその話はしたのですが、PTAで運動しません。私たち教師だけでは運動できません。3000万署名などに取り組んできても、教師が楽になるためにやっているとしか見られない。子どもたちにゆきとどいた教育をするために、少人数にしたいと訴えているのだが、そういうふうに見られない。親と先生が一緒にならないと運動はできません。

     PTAがこの問題に取り組まないで何をやるのかという思いがあります。親と教師が一緒に相談しなければ、絶対上手くいかないということも感じています。教師は固まっていかなければならない、組合員でない先生とも一緒にやっていかなければいけないということに、私たちは随分努力してきたつもりです。校長・教頭は署名してくれなかったけれど、教務主任をはじめ県職の教職員は全員署名してくれました。市教委との交渉の時にその署名を持っていきました。そういうふうに運動を皆で進めていく。そうすると、私どうしようかなと迷っている人も、皆が署名するならと書いてくれる。要望に行った時も、組合員でない先生も一緒に行って、切実な思いを発言してくれる。大事なのは、毎日毎日どういうふうに人と関わりあっていくかということだと感じています。

     いろいろな人が運動に取り組めるような日常的な関わりを、学校の中でも外でもつくっていくことが大事なのだと思いました。10時間講師の問題や定数の問題などを学習していくことも欠かせない。そういう学習を学校の中でできるようにする必要があると思います。

     自分たちの力で何とかできるのだということを、こういう運動をしてこうなったという報告をいろいろなところでしてほしいと思います。あきらめたらおしまいなのだと伝えてほしい。

     この運動はぜひ連Pで取り組んでほしいと思う。そのためには、大変だけれど皆さんが連Pに出て行く人になってほしい。会長・副会長になって連Pに出て行ってほしい。10校くらい集まれば、連Pも変えられます。

     2月に松戸市教育改革市民懇話会の最終答申が出ましたが、松戸市が早急に検討すべき課題として、「少人数学級・少人数授業などの実現に向け、総合的に検討すること」ということを一番目にあげています。事務局である市教委は少人数授業でやりたいというのが本音ですが、懇話会委員の中では、少人数学級をやるべきだという意見が多数でした。少人数学級という言葉がちゃんと入っているので、これを持って「松戸市独自で少人数学級に取り組んでください」と言っていくことができると思います。この最終報告を受けて、どのように具体化していくかというアクションプランを市教委が夏ごろまでにはつくるので、この1・2ヶ月の間にぜひ市教委に働きかけていく必要があると思います。

     私はこういう活動をしたのは今回初めて。何もわからないまま、あれよあれよという間に、気がついたらこういう場に来てしまって、ちょっとドキドキしています。でも、親が知らなかったら、何もわからないまま 勝手に学校や国・県・市などで話がどんどん進んで行ってしまって、全然子どものためになっていないということが良くわかりました。これから先もこの運動に関わっていきたいと思っています。

     私の学年に、年間講師の先生が一人います。正規に採用された先生だと、週に1日研修日があるのです。これがいいかどうかは別にして、年間講師の先生にはこの研修の自由がありません。教員は互いに教えあい、支えあい、一緒に教育内容を作ってきていますから、お母さんたちは心配することはありませんが、でも制度上で差別されているのは明らかです。教師が、そういう立場を考えなくてはいけなくなったというのは、とても不幸なことです。子どもや親から見た担任問題ということを学習のスタートとしてほしい。そこからまた交流していけるといいと思う。

     常三小の今回の署名活動の機動力になったのは、その前にPTAをつくろうという運動がずっとあって、9票差でつくることができなかったのですが、そのエネルギーが継続して今回の活動につながってきたと思います。ひとつの運動がだめになっても、次の運動がその形態が一つできることによって学んでいけるということがあると思います。その学びが大きかったと思います。
今あるPTAの中でも、役員のなり手がなくて「PTAは面倒くさい、やる人がいなかったらPTAはなくてもいいのではないか」という考え方のお母さんが増えてきています。でも、PTAの意義はとても大きいので、「PTAは大事」ということを交流していける場があるといいと思います。

     PTAをつくろうとした時、「中身はいいこと言っているんだけれど、何か怖いよね」という感じで終わってしまって。既製のPTAに対するイメージはとても悪いです。子どものためには一番なのに、それを見てくれない。私がつくりたいのは話し合いの場としてのPTAです。今、うちの学校にはPTAと同じような組織はあるのですが、そこに決定権と招集権がありません。まずそれをつけたいということを提案したら、昨日すんなり通ってしまいました。それと全体会をやろうという話も出ているので、ほぼPTA…。

     今回3校で取り組んできた形を、誰でもどこの学校の人でも参加できる形にして、様々な人たちに参加を呼びかけるといいと思います。そして具体的には、県知事との懇談要請とか、松戸の小・中学校の実態・先生方の実態などをテーマにした学習会の開催とかを計画して、そういう中でつながりをどんどん広げていくというのはどうでしょうか。

     その中で、PTAについての話し合いもできたらいいと思います。

     本来松P研というのは、PTAについての学習をして、それを単Pに持ち帰り、PTAを民主化していくという場です。自主的な学習・運動の場です。皆さんが松P研に入って、自分たちの使いたいように使ってください。

 

        

コンピューター教育のことなど☆あれこれ

     最近スクールセットが学校に入ったのですが、それが子どもたちのサイズにあっているかどうか、学校へ行く機会があったら見てほしいと思います。6年間使うということで、サイズの調整はできるようになっていますが、1年生にはその調整をしても大きすぎるのです。1番低くしてあげても足が届きません。2・3年になってやっと届くくらい。小学の6年間ずっと同じものというのは無理があると思います。低学年用と高学年用の2種類にしてほしいです。

     コンピューター予算のことですが、うちの学校ではコンピューターを全部取り替えたそうです。そんなことをしていたら、いくらあったって足りないですよね。

     コンピューターはリースです。リース料とソフトやその他付随する費用の総額があの予算額になっています。それにしても高いです。

     松戸市や県の予算を見て、私たちが払っている税金が何に使われているかをきちんと見ていかないと、どうでもいいようなところにたくさんお金が使われている。そのことについてもきちんと言っていく必要がある。

     学校のコンピューター教育について、お母さんたちはどう思っているのでしょうか。

     コンピューターよりもっと大切なことがあると思っています。

     小学校でやる必要はないと思う。

     会社に入ると、コンピューター研修が2・3週間ありました。小学校からやっていなくても、会社に入ってしまえば、何とかなってしまう。興味があれば、子どもたちは自分でやりますし…。1年生の息子は1年間で5・6回コンピューターの授業があるのに、5年生の娘は、5年間で4・5回の授業。学年によって違うのに、そこまでお金をかける必要があるのか、疑問に思う。

     高校の先生が言っていました。「高校へ来ても、割り算や分数の計算ができない子がいる。そこをやるのが小学校の中心ではないか。私の高校のできない子どもたちも、1ヶ月すればコンピューターを全部使えるようになる」と。

     絵を描く力、漢字を書く力をおろそかにしますね。絵を描かないと、観察する力がつきません。

     子どもたちは苦労して調べないと、身につかない。コンピューターにお金をかけるなら、図書室にお金をかけてほしいと思います。

     小学校給食の民間委託が、今年から4校で実施されていますが、その進め方もひどい。調理室がドライ化されている11校は、今後民間委託される可能性が高いので、横の連絡を取り合って、一緒に考えていけるといいですね。