2002年1月例会
ここが変だぞ!PTA

―今、子どもたちや先生、親たちが様々な問題を抱えて悩んだり、苦しんだりしているのに、PTAはそういう問題を話し合ったり、考え合ったり、学習したりできてい内。本当はそういうことを考えていくのがPTAなのに、本来の機能を果たしていない。参加されている皆さんから問題提起をお願いします。

―小学校PTAで役員をしています。次年度の役員の方たちに新しい体制で引き継ぎたいと考え、参加しました。来年度から毎週土曜休みになるということも影響ありますが、保護者全体のPTAへの意識が薄れているというのが最大のネックになっています。それを今から活動を活発にして頑張りましょうと言うには、「時すでに遅し」なのかというのが正直なところです。皆さんの意識に合わせた活動内容に切り替えていく必要があるのか、そしてそれをどこにポイントを絞っていけばよいのかと今悩んでいます。

―学校で問題が起きた時に、PTAというのはどういう位置づけでどういう活動をしていけば良いのか、そのあたりを考える必要があると思います。また、何か起きた時に、役員に降りかかってくるものがとても多いので、少し軽減して次の方たちに引き継ぎたいと思いました。どこにポイントを絞ったら良いのか、また、どういう活動だったら保護者の方たちの協力が得られるのかということを知りたいと思います。

―子どもの数が減ってくると、委員の数も減ってきます。ピークの頃と比べると半分から3分の1位に減っているのに、仕事の量は同じです。会員数が減っているのに、同じ数の役員を選ばなくてはならないので、そうした困難さはあると思います。働いているお母さんも増えています。

PTA活動を見なおしたいけど、何を削っていけばいいでしょうか

―PTA活動のどこを絞ろうと考える時に、やはりPTAって何だろうという根本に帰って考えていく必要がありますね。仕事量を減らすために、PTAが本来しなくてはならないことをどんどん削ってしまって、どうでもいいことばかりやっているという現実がありますから。一番大切なのは何かということをPTAの中で考えるところからスタートしなくてはと思います。

―PTAでバザーをして、その収益金で子どもたちに観劇などの文化的行事を行っているのですが、バザーについての会員の意見は、子どもたちにとって楽しいことはやってほしいけれど、自分が実際切り盛りすることについてはやりたい人とやりたくない人の両極端ですね。

―PTAがバザーを行うことについて、以前は反対の考えを持っていたのですが、今は、親と子、先生、地域の人たちが集う場として、バザーのような行事をうまく使っていった方がいいのかもしれないと思うようになりました。いろいろ形を変えながら、地域のつながりを深めるために使えるかもしれないと。ただ、その準備のために役員への負担が大きくなりますね。

―バザー準備というのが役員への負担の最大のものですね。

―環境委員会で学校の年1回の草取り作業の準備、遊具のペンキ塗り、ベルマーク収集をしています。毎年行っているので、それが当たり前だと思っている人が多いようです。削るとしたらこの環境委員会ですね。

―学級・学年の先生とのパイプ役になるというところは削れないですね。あと広報活動をどうするかということですが、学校の中のことを保護者に知らせる唯一の方法だと思います。だんだんと保護者が学校と疎遠になる傾向がありますので、広報紙を配らないと学校の様子がわからなくなるのではないかと思います。

―広報紙は学校から出すのではなく、PTAの広報紙ですよね。

―現状としては、PTAの広報紙にはなっていないですね。挨拶や学校行事の紹介が主になっていますので。広報に携わってくださっている委員の方の考え一つだと思いますね。

―広報紙を広報委員になる人の思いにまかせてしまうと、PTAの広報紙としての役割を認識している人が委員になった時には、その役割を果たすけれども、そうでない時に「PTAの広報の役割は何か」という学習をしないでやっていると、挨拶文をのせるだけ、昨年度の広報紙と同じ変わりばえをしないものを作って、これなら広報なんていらないんじゃないと言われてしまう。どんなに削ったとしても、「PTAとは何か」とか「広報委員会は何をすべきか」などの学習の時間を削れないと思う。PTAの委員研修をするとか、PTAの手引をつくるというようなことが必要だと思う。誰が委員になっても、この委員会は何をする委員会だとか、PTAの委員は何をすればいいのかというようなことがわかる手引を作るのはたいへんだと思うけれど、市内のPTAでもそういう手引を作っているところがいくつかあるから、それを参考にして自分のところに合うものを作っていけばいいと思う。

―本当は、PTAの中に手引委員会を作って、1年くらい時間をかけて皆で作っていくのがいいのだけれど。

―バザーは会則を変えなくても、皆の総意で活動計画として提案しなければいいのだから、すぐやめられますよね。

―どうかしら。文化活動が関わっているから、そう簡単にやめられないのではないかしら。

―学校というのはバザーをやってもらうというのが、PTAの存在を感じる時なんじゃないかしらね。

―個人負担もあって、PTAの補助も出すということで、観劇などをします。

―PTAをもっとスリムにして、次の人に渡したいということだけど、スリムにして次の人に渡しても、スリムになった意味を渡された人たちが理解しないと意味がない。そのためには活動をスリムにする内容について皆で共通理解していく必要がある。

―地区委員や成人委員の活動を整理して、学級・学年のところに統合するか、あるいはもっと楽しくやれるような組み立てをしていけば、会員がわいわい集まってくるようになればしめたものでしょう。集まってくるような工夫をしましょう。行き詰まって苦しくなると、活動の中身も面白くなくなるのよ。企画する人たちが気分を変えて楽しくやるだけで、その楽しい気分が伝わっていくから、そのことで2人3人と出て来るようになる。そうすると、教育に対する思いや「子どもたちどうしようか」ということが他の人たちに繋がって、仲間が増えていくわけですから、PTAをどうしようかと一緒に考えてくれる仲間も増えてくる。

PTAというのは何を目指せばいいのでしょうか

―学校というのは、子どもがその中で本当に気分良く幸せ感じながら、頭も良くしてもらって、仲間も作って、いろいろ友だちとも関わって社会とも関わっていく、生き方を学ぶ場所だと思うのです。親として子どもをどう育てたいかと考えた時に、皆そんな子どもに育てたいと願っていると思っているのね。悪い子に育てたいと思っている親なんていない。みんな子どもたちが楽しく幸せに生活して大きくなってほしいと思っているのね。先生たちは、自分が担任している子どもたち、自分の学校の子どもたち全部をそういう子どもたちにしたいと思って教師をしていると思います。ですから、そういう先生と親たちの気持が、ここの学校の子どもたちが楽しく幸せに学校生活を送れるために、そうならない弊害があればそれをどうしようかと話し合ったり、もっともっと良くするためにはどういう条件を作ったらよいかと話しあったりするところがPTAだと思います。あまりそこまで考えないで、PTA活動というのはバザーしてお金を集めて何かをしなくてはいけないとか、末梢的な部分に、具体的な見えやすいところに、そういうことだけに考えがいってしまって、疑問的になってしまって、子どもなどそっちのけになってしまっている。

パトロールすると言っても、何のためにパトロールするのかということを本当は考えなくてはならない。パトロールするのはいろいろ悪い状況があるからでしょう。その悪い状況を取り除いてあげれば、子どもたちは安心して地域で遊べるわけだから。地区委員会というのは、地域の状況が子どもたちが暮すのにふさわしい状況かということを話し合う場所だと思います。パトロールするだけが仕事じゃない。学級・学年委員会というのが何をしているのかなあと疑問ですが、学級活動は何なのかということも考えていかなくてはいけない。

いろんな学校のPTAが同じような苦労をしてやってきている。同じ悩みを抱えてやってきている。今も解決しないで。私がPTAをやったのは20年も前だけど、その時と全く同じ。教育行政も悪いし、教育に対する考え方自体もおかしくなってきているところからいろいろな問題が出てきているのではないかと思う。本当はそこのところをPTAは論議していかなくてはと思うのに、もっと身近な細かいところにこだわりすぎて、本当の問題がちっとも解決しない。

―それは良くわかるんだけれど、それを自分たちに置き換えた時に、わが子がいじめられて被害を受けたとか、先生にエッと思うような指導を受けて傷ついているとかいう場合は一生懸命になるけれど、それがクラスだったり学年だったり、学校全体だったりすると、変わってきているなと思う。わが子に降りかかったことは自分で払わなくてはという意識は強いけれど、皆で協力してというのは薄くなっていますね。それはそれで時代の流れかと思わざるを得ない。PTA活動をがんばって行きましょうよと皆を引っ張っていくのはむずかしい。もう一度根本から考えましょうという段階ではないと思う。学校の行事のお手伝いだけに絞ろうという意見も強い。あるいはそういうところは先生方から直接要請してもらって、PTAとしては学級・学年活動だけを残して窓口になろうという意見もあります。

―これは今の問題ですね。文庫活動も今成り立たないんですね。地域でお母さんたちが集まって、お母さんたちも楽しみながら子どもたちに本の読み聞かせをするということが成り立たないんです。一方でお母さんたちが勉強する会はすごく広がっているんです。皆と手をつないで一緒にやりましょうというのはすごく少ないんですが、自分が得るものがあるというのにはとても熱心。

―でも、その中で子育てを悩んでいる人はいっぱいいる。

―悩んでいて、自分で悩みを一人で解決する方法は探すけれど、人には相談しない。

―相談しないというより、皆で話し合って一緒に解決するという方法を知らないのだと思う。

―それをするのがPTAだと思う。

―学年・学級活動というのが義務的にイベントだけになりがちだけど、そうじゃなくてクラスのお母さんたちが楽しく知り合いになることで地域の子どもたちを良く見ることができるようになる。


地域の中での関係が今薄くなっていますが、
そういう時具体的にどういうことをすればいいのでしょうか

―地区懇談会をやっているところもあります。いくつかのブロックに分かれていると思うのですが、そのブロックごとに懇談会をやったり、行事を行ったりしているPTAもあります。

―PTAで行うパトロールには意味があるのでしょうか。

―中学の場合は、パトロールする対象は子どもたちのことが多いですね。お祭りの時、夜遅くまで子どもたちが遊んでないかとか、近くの公園で悪さしてないかとか。小学校の場合は、通学路の点検や、放課後子どもたちが遊んでいる様子とか、公園の遊具が壊れてないかとか、地区内の危険箇所の点検など、地域の子どもたちの安全を守る点を重視してパトロールをしていました。何を見ていくのかということをPTA全体ではっきり把握していく必要がある。通学路マップを作っているPTAもあります。学区内の危険箇所や「子ども100当番の家」の場所などが書き入れてありました。

―近くの子どもたちを周りの大人が皆で注意して見守るというのが本来の地域だから、パトロールをしなくても済む地区作りを考えるのが、本来の地区委員会の役割だと思います。でも、パトロールをしていることが、犯罪への抑止力になるという会員の意見が多くて、なかなかパトロールをやめられない。

―池田小の事件の後、1学期の間だけですが、会員に呼びかけて公園2カ所と死角になるような場所を重点的に当番制でパトロールに立ったのですが、パトロールの終わった10分後に変質者が出たのです。犯罪抑止力としての意味があったのかどうか疑問です。子どもが歩いていたら皆が気をつけてあげるという意識を持つことの方が大事だと思いました。

―全会員に呼びかけて通学路安全チェックとか、学区ウォッチングのような活動をするという方法もある。みんなで学区内のことを知りましょうと呼びかけてね。

―そして広報でその結果を報告する。子どもが安心できる地域づくりが大事だということが親たちの頭の中に入ってくるといいですね。


本質的な議論をPTAの中でしっかり行っていかないと

―今 親同士の関係が希薄になっているけど、PTAというのはかかわりをムリヤリ作ってしまっているところがある。PTA活動の中で知り合えた人間関係で、地域の中での人間関係が豊かになっていくこともある。

―面倒だからといって仕事を削っていくのは簡単だが、一度削ってしまったものを復活させるのは難しい。一番PTAで面倒だけれど一番大事なのは、話し合うことだと思う。話し合いを深めていくことでいろいろなつながりもできてくるし、お互い違った意見でもどこで一緒にやっていけるかということが分かってくるのだけれど、時間をかけて話し合うことを面倒くさがるところがある。面倒だけれど話し合いを重ねてくると、『ああ良かったナ』という結果が出てくる。

―PTAの基本は学級活動。同じクラスの親たちが集まって、子どもたちの状況を話し合って、その話し合った内容を広報紙に載せる。皆同じ悩みを抱えているからわかりあえる、そこが一番お互い結び付けられるところ。

―小学校のPTAの文化委員会で、バレーボールとか編物とかをやりたいと言う人がいるんだけど、それって自分の楽しみ。でもそういう楽しい時間を持つことも大事だから、サークル活動として位置づけた。毎年、やりたいことを書いて出してもらって、5人以上集まるとサークルとして成立する。サークルは自主運営。PTAからは補助金として1000円出している。連Pのバレーボールに出るのもそのサークルが意思決定する。そういう集まる場を作るのは大切だけれど、その運営までPTAが担う必要はないと思う。役員の手を煩わせることではない。

―他の小学校PTAには、子どもの本のサークルがあって、週に一度昼休みに、イベント的に読み聞かせ会をしているようだ。そういうサークルって良いと思う。

―中学校の成人教育委員会の仕事は、連Pのコーラスやバレーボールの仕事が大半を占めていて、負担が大きかった。

―連Pのバレーボール大会の応援は、成人教育の仕事の一つになっていて、ほぼ強制参加になっている。仕事を持っている人は休みをとって参加する。本来の姿じゃないですよね。

―環境委員会で草取りやペンキ塗りをしているということだけど、それは本来削ってもいい仕事ですよね。私たちも昔、これをやめさせるのに大変な時間を費やしました。校長先生はやってもらいたいわけで、「草取りが本当に必要なら、子どもたちにやらせればいい」と言うと、「子どもたちでは危ないからやらせられない」と言う。

学校の中で設備が必要なら市の教育予算から出してもらってくださいと言うことが必要。そういうことを親自身が理解していくためには何をしたら良いかということで、松P研では昔教育基本法の勉強会などをしてきた。今 教育基本法が危なくなって、学校の中で教育基本法や憲法の勉強をすることが大切だけれど、それができてない。生きやすい社会を作っていくために、楽しく学べる学校をどう作っていくかということ、教育はどうあるべきかというような、本質的な議論をPTAの中でしっかり行っていかないと。「なぜベルマークやめた方がいいのかしら」というようなことを丁寧にひとつひとつ話し合って、わかってもらうようにしないと、PTAはもっと形骸化してしまう。

―PTAって、模索したり、悩んだり、けんかしたり、親の関係の中でいろいろあるけれど、でもそれも一つの社会だと思って、気楽に考えて取り組んでいったらいいと思う。開き直って「PTAが趣味なのよ」と言うくらいでいい。あまり深刻になると自分がきついから。

―会員の人たちが皆でわいわいがやがや集まれるPTAにして、集まった人たちが本音で対等に話し合える場を作っていけば、自ずと自分が抱えている子育ての悩みなどが出されてくる。それを個別の問題とかたずけないで、「そうよね、皆おんなじよね」と言いながら、共通の問題として「ではなぜそういう問題が出てくるのかしら」というふうに、少しずつ深めていって、最終的に「教育基本法や憲法を皆で考えましょう」というところまでいけばとてもいい。そこまで辿りつくのは難しいけれど、とりあえず皆が集まって来たいと思うような活動をするというところからスタートしましょうよ。

(まとめ:浅井ゆき)