2月例会報告

学校と地域のかかわりを考える

―4月から学校週5日制完全実施―

週5日制実施に伴い、学校はどう変わっていくのか。そのバックボーンは何なのか知りたい。また、休みの土日をどのように活用していったらいいのか、考えたい。

学校のクラブの時間にボランティアとして入っています。学校だよりのボランティア募集についての文章の中に、「学校に必要なボランティアの方を優先して登録していきます」という文がありました。また、「先生を土曜日に出させることができないので、土曜日のクラブのお手伝いをお願いしたい」という学校からの要請が、PTAの会議の席上であったようです。学校と地域との関わりって何だろうと思いました。

小金北中学区の教育コミュニティ会議に関わっています。ボランティアの体験学習とか、世代交流会などをやっていますが、来年度から総合的学習の時間に世代交流会が入ることになりました。土曜休みについてはまだコミュニティ会議の中でも論議していません。

PTA がなくて、クラスの5・6人のお世話係がリクリエーション等を企画します。月一回学級長が集まった学年PTA という縦割りの活動報告会を行っています。活動は活発で楽しくやっています。昨年の池田小学校の事件のあと、門の開け閉めやパトロールをやったほうがいいのではないかという意見が出たのですが、そうした意見に対して受け皿を作って、子どもを守る対策を取っていった方がいいということで、PTAの組織を立ち上げようと考えています。今までとやることは変わらないと思いますが、きちんと組織化したいということです。引継ぎもありませんでしたし。いろいろな事を皆の頭の中に入れて、皆で楽しく作っていくPTA にしたいと思っています。 

≪ボランティアの入り方についての取り決めがあった方がいいのでは…≫

学校によって対応は様々でしょうが、土曜日に先生を使わない。施設の開放もできればしないというのが基本的な姿勢。管理が難しいからです。

小学校のクラブ活動の補助に、何人か保護者がボランティアで入っています。ただボランティアが入ることで先生が手抜きしているのではと思われる様子が見えるので、疑問に思っています。子どもたちがわからないことを教えることはできますが、授業を始めるのは先生でなくてはできません。

逆にボランティアで入った人が積極的に先生に取って代わって子どもたちを指導してしまう場合もあるでしょうね。子どもと地域のいろいろな大人たちが出合うということはとてもメリットが多いことだけど、ボランティアの入り方についてのきちっとした取り決めがあった方がいいのではないか。校長主導の下に地域の人がかり出されて、踏み込んでいいところとそうでないところが曖昧のまま、ぐちゃぐちゃっとやられている気がする。

ボランティアと先生との打ち合わせも十分にされていませんし、便利に使われている気がします。

小金北中学区教育コミュニティ会議の地域の会というのは、教育ボランティアの会です。頼まれてやっているのではなく押しかけていってやっている感じです。会議の時に、今度はこんなことがしたいと学校に提案するという感じです。自分たちが実行委員会を作って学校と交渉するという形でやっています。世代交流会が総合的学習の時間に組み込まれることになって、先生と講師の関係がどうなるかが悩みの種。

本来は学校の先生が主導権を持ちながら、講師の人と十分な打ち合わせをする必要があると思う。

子どもたちにとって、先生が2人いるということは混乱するので、先生と講師の意思の疎通をしっかり取っておかなくてはならない。来て下さい、ちょっと手伝って下さいという関係では難しいだろう。

地域の人に来てもらうことでいったいどういう目的でどういう展開ができるのか、教師の力が問われてくると思う。

ボランティア同士の会合はないのですか。そういう会合があった方が、ボランティア間の話し合いで、学校と「打ち合わせの時間をとってください」などの交渉ができるのではないか。学校とボランティアとの間の約束事はきちんとした方がいい。

狭い学校というカプセルの中で子どもを育てるよりも、いろいろな人たちが冷たい風であれ温かい風であれそそぐことによって、子どもたちは切磋琢磨されるのではないか。今の子どもたちは切磋琢磨される場があまりない。切磋琢磨されない子どもが大人になっていくとどうなるかというと、私は今社員教育に関わる仕事をしているのだが、十分に育ってないまま濁流のような世の中に投げ込まれ、ぐちゃぐちゃになってやる気をなくして会社を辞めていくという例もある。そういう意味で地域の人が学校へ入っていくことは賛成。

総合的学習というのは生徒達が個々にテーマを決めていくのだそうです。10人いれば10のテーマがある。中学生が自分でテーマを決めて自分で学習していくことができるか。そういう力がこれまで培われてきただろうかと不安になる。話を聞いて、総合的学習の時間というのは大変な授業だと思った。授業時数を削った上に、この時間が入るというのは、大変だと思った。総合的学習の時間を土曜日にやるようにすれば良いのに。

ナビゲーターのように、先生とボランティアの講師が一緒になって、子どもをサポートしてあげれば、最後のゴールまで辿りついて、子どもが自分の手でつかんだものを感じとって、それが大きな飛躍に繋がると思う。

≪今までのPTAの形にとらわれない、新しい形のPTAを≫
  
 小金北中学区教育コミュニティ会議のできた経緯というのはどういうものですか。

大河内君の事件が起きた時、小金北中学校でもいじめ・恐喝という事件があって、その時の校長先生の提案を受けて、子どもたちを死なせてはいけないという思いから立ちあがってきたものです。

同じような問題は、市内の中学校のどこにもあったと思います。それをどれだけ深刻に捕らえたかの違いですね。

PTAがあれば、PTAが取り組むべき問題ですよ。

小金北中学校にPTAがないのは、PTAという組織を維持していくためには膨大なエネルギーを費やさなくてはならない。そうしたエネルギーをもっと違う形で使いたい。そういう思いでPTAが作られなかった。新しい形を模索して、今の教育コミュニティ会議ができてきた。

今までのPTAの形にとらわれない、新しい形のPTAを作り出してほしいですね。

先生と保護者が集まって、対等に話し合う場というのはとても大切。それがPTA。

今の手をつなげる状態を毎年保って、いざとなったら機能できる、自主活動ができる場を作っていきたい。

それぞれの地域や学校によって、状況は違うのだから、そこにいる人たち皆でいろいろな知恵を出し合いながら、そこに必要なふさわしいPTAの在り方を探っていってほしいと思います。

小金北中学区の教育コミュニティ会議はとてもよくて、他の地域でも同じようにできたらいいと思うけれど、それをそのまま持ってきたところできちんと機能しないだろう。自分たちの力を蓄えながら、自分たちの力に見合ったものを作っていかないと、形だけになってしまうだろう。

学校とPTAが対等な関係でないところは、どうしてそうなのですか。校長先生の意思ですか。

PTAの役員選考の時、今までは選考委員会が候補者のリストを学校に出して、この人はだめこの人はだめとチェックしてくる。学校の言う通りに動いてくれる人しか選ばない。今年はそれを拒否したらしいけど。

PTAの中に教職員部会がきちんとあるPTAもある。先生の互選で先生側の委員・代表が選ばれてくる。先生の代表は教頭と決められて、他の先生はPTAの会議に全く参加してこないPTAもある。

PTAに組織化することで、一部の人で決めてしまうような組織になってしまうことを恐れている人も多い。

PTAは本来、皆で話し合って皆で決めていくところですけどね。

体制を作って、皆の思いの受け皿を作って、毎年変わることなく引き継いでいけるようにしたいと一年かけてやっていくしかないですね。

PTAについての学習会した方がいいですね。

≪問題を抱えている子どもたちほど環境がきびしくなる≫ 

うちの小学校は、校長先生の考えで今6時間目がないんですね。朝の15分を3日分あわせて、1時間にカウントしている。

5日制導入にともなって、入学してまもない1年生が週3日も5時間目までやらなくてはならない。

5日制の導入は、先生の労働時間の短縮が目的。一人の先生の労働時間を短縮することには賛成だが、子どもたちまで土曜休みにすることはない。先生をもっと増やしてシフトさせればいい。

子どもの週5日制だって悪くはないと思う。土曜休みにするんだったら、他の5日間が今よりひどく重荷にならないようにすればいい。

今、子どもの学力低下が恐れられるようになって、文科相の「学びのすすめ」が出されたけれど、あれはいったい何? 自分で勉強しなさいって。

学力格差は親の経済力の格差にますますなってしまう。

教育を受ける権利の平等が保たれない。

5日制には2つの問題がある。土・日を子どもたちがどう過ごすのかということと、月〜金までの時間割のきつさ。学期ごとに時間割が変わるかもしれない。それに加えて総合的学習の時間も増える。子どもたちはますます時間に追われるようになって、精神的に不安定になってしまうのではないか。

学習内容も系統だって順に学んでいけば理解できるものを、その順番がおかしかったり、間が抜けていたりしたら、子どもたちには理解できなくなってしまうだろう。

今までも落ちこぼれていた子どもたちは、もっと深刻になるでしょうね。

そこに先生の資質の問題も加わる。

土曜日に塾に行かせられる家はいいとして、そうでない子どもたちはどこへ行くのでしょう。

どんどん二極分化していきますよね。

問題を抱えている子どもたちほど環境がきびしくなるということですね。

PTAは、授業が円滑に行われるかどうかということだけではなくて、地域で問題を抱えている子どもたちをどうしていくかということを問題として取り上げていくことも大切だと思う。

1回の土曜休みが始まった時に、子どもたちの居場所として学校を開放するという取り組みがあったはずですが、あれはどうなったのでしょうか。

ボランティアの人を募って、子どもたちを遊ばせるということをやっていましたね。

登録制でやっていたのが、登録する子どもたちが少なくて開店休業状態になって、立ち消えになったみたい。

やっぱり児童館や公民館などの公共施設が必要。

5日制ということについては、学校だけではなく地域ぐるみで考えていかなくてはならないと思います。夜8時過ぎでも町の中に子どもたちがいるというような状況。

繁華街を抱えている学区は土曜休みに子どもたちがトラブルに巻き込まれないか、心配ですね。

若いお母さん達も、どうやって子育てしていくかわからないことが多くて、地域の子育て経験のある人たちと繋がりたいと思っている。

地域の会でも今度子育て支援ということに取り組むことになった。小学校入学前の子どもを抱える人たちと、小学校以上の子どもを持つ人たちとが一緒に話し合える場を作ろうと考えています。

子どもだけではなくて、いろいろな年代の人が地域の中で出会えるということがとても大事。

都市部では今、学校が唯一の地域の核になっている。PTA は今までは学校の親と子と先生が活動の対象だったけど、これからはPTA が地域のコミュニティを造る中心になって、いろいろな出会いを提供することをしていく必要がある。

高齢者と子どもたちが交流できる場を作ることも考えて。小学校と老人施設が同じ建物の中にあって、互いに交流しているところもある。そのことで互いに関わり方を学べる。

子どもたちが実体験することが少ないから、いろいろな体験ができるよう考えていきたいですね。