5月例会報告

松戸市の教育は今、そしてこれから


―今年教育委員会に聞いたら、「学校図書館にボランティアは置いていません」と答えていました。でも、ボランティアで読み聞かせに入っているところもあると聞いていたので、その辺はどうなっているのかしら。

―地域の小学校から、町会の回覧でボランティア募集というのが回ってきました。

図書とコンピューターの指導のボランティアということで。

―うちの地域でも、以前回覧で回ってきました。どういうことで協力できるかという登録の申し込みでした。

―今 行政としては、ボランティアで学校に人を無料で入れることに傾いているんです。もっといい形で入ること、専門家がいてこそのボランティアだって言っているのですけど。

―司書教諭は来年から配属されるのですけど。今さかんに養成しています。ただ学校図書館法の改定で「充て職」なんです。教員として採用されている人に司書教諭の資格をとらせて、発令する。発令はされるけど、クラス担任も持って、中学なら教科担任も持ってというふうになるんです。とても忙しくなってしまいます。

―これでは今までとほとんど変わらないだろう。図書整理法の講習をするくらいで2週間くらいで資格がとれてしまう。国としても県としてもお金がすごくかかるので、専任で司書教諭を置こうとしない。

≪授業というのは教師だからこそ親は教育を託すことができる≫

―今ボランティアといえば何でも通るみたいで、でもボランティアは自己実現の場ではない。ボランティアはどういうものなのか、どういう形で入るのか、それを最初にきちんとさせておかないと、授業に入る可能性もあるのだから…。主体は先生なんだから、ボランティアが先生のアシスタントとして入るのならいいのだけれど。

―ボランティアの人間がいつまでもずっといるわけでもないし、いつどこでもボランティアがうろうろしてるのもそれがかえって先生のストレスになるかもしれない。授業というのは教師だからこそ親は教育を託すことができるのだから、授業の中にボランティアが安易に入ってしまうのには疑問を感じる。そんなに必要だというのなら、今まで学校が抱え込んできてしまったものを、学校でしかやれないことを残して、後は切ってしまえばよい。それをやってもまだ必要だというのなら、まだしも、ボランティアの入り方も何も話し合わないで、なんでもボランティアというのは反対。

―互いに先生になったり、生徒になったりの生涯学習と、法に基づく学校教育とは違う。

―教育にお金をかけないためにボランティアの導入をするのに、地域の人が学校に入ることによって学校の風通しが良くなるとか、地域の人との交流を深められるとか、そういったことを飾りのようにくっつけてそれをぼかしてしまう。でも本当の目的は節約よね。交流することが目的だったら、授業とは別枠で放課後や休日を使って本の読み聞かせをしたり、地域の人が特技を教える講座を作ったりすればよいと思う。

―市川の場合、司書の人が入っていて、お母さんのボランティアが200人位いるのだが、司書という専門の人が中心になって組織している。それでも問題はあるけれど。

―学校の敷居が低くなったから良しという意見もある。

≪子どもも含んだ市民の自主的な活動を行政が保障するということが必要≫

―でも、今必要なのは学校から外に出た子どもたちのところでしょう。

―だから子どもたちを学校に取り込んだ方が良いという考えがある。

―松戸でも、社会教育の分野にお金をかけていない。公民館も児童館も一つしかないし…。学校の中にボランティアを入れるよりも、公民館や児童館を充実させて、そこに市民も集えば良い。

―中学生・高校生も行けるような児童館をね。

―子どもも含んだ市民の自主的な活動を行政が保障するということが必要。

―行政が主導してボランティアを入れようとしているところに問題があるのだと思う。ボランティアが入ることのメリットも確かにあると思う。だから使い方だと思う。小金北中でやっている世代交流会のように、地域の人たちとの交流というはっきりした目的を持ってやるのが良いと思う。

―やはり専門家がいてこそのボランティアだと思う。ここまでしていいけど、ここからはしてはいけないという境界線をはっきり引くべきだと思う。いろいろなところでボランティアが入っているけど、例えば病院に入っているボランティアが医療行為に従事しないように、しっかり境界は引かれている。学校はそこが非常に曖昧。

―教育予算は、この世の中もっと増やせとは言い難いけれど、子どもが減っていくのだから現状維持していけばあまるようになるでしょう。その余った分を削らないで、子どもたちのために使ってほしい。今までが十分ではなかったのだから。そういうことは親がきちんと訴えていかなければと思うよ。

―松戸市は「自立した市民社会」を目指しているというが、社会教育の分野を充実させなければ、自立した市民は育たない。青少年を対象としたプログラムももっと必要。地域の近いところにないとね。