東葛地区教科書採択協議会ではどのような話し合いがされたのか

 7月16日に行われた東葛地区の採択協議会の会議録を入手して、その話し合いの中身を読みました。『つくる会』の教科書を推す委員はいませんでしたし、委員の方たちの意見は極めて良識的だという感想を持ちました。

例えば、歴史については、

外国との関わりなしには、また、東アジア、東南アジア諸国との関わりなしには日本という国はそのものが立ちゆかなくなっていくのではと思うのです。侵略とか、そういったものを意識的に薄めようとしているような傾向がある教科書も出されてきている

残念なことに1社が、特に近現代史になってくると女性史や市井の立場のもの、という歴史が非常に減ってくるのですね。

日本の学者だけでなく、場合によってはいろんな国の学者がまとまって、そのくらいのグローバルな雰囲気でもって教科書を作っていってもいいのではないか。

また、公民については、

この専業主婦という言葉を太字にして、女性の社会進出に対しては非常に否定的なニュアンスを感じる出版社。

ある社の教科書では、天皇のことについて、2ページにわたって書かれている。ところが、国民主権のことについては、主権は国民にあると簡単に一言書かれてあるだけ、そういう点で非常に扱いがバランスを欠いているのではないかと思います。

 こうした意見交換がされて、投票を行ない、両分野とも東京書籍が32票中それぞれ23票・22票をとって選ばれました。

 松戸市の教育委員会では、この東葛地区の協議会の決定を受けて、7月25日に臨時の会議を開き、教科書採択について話し合いをしています。秘密会で行なったことがとても残念です。松戸では教育長と教育委員長が東葛地区の採択協議会のメンバーになっており、協議会に出席する前に松戸市の教育委員全員で非公式の勉強会を行ない、そこで松戸市として推薦する教科書をいくつか選んで行っています。そのため、7月の教育委員会会議では、東葛地区の採択協議会が採択した教科書についてのみ意見交換をしています。市民としては、事前に行なった勉強会を公開の場でしてほしかったと思います。