皆さんのPTAでは、『PTAの手引』を作っていますか。
PTAとは何かということを代々引き継いでいくのは大変難しいことです。
また、新しく委員になった人が、何をすればよいのかがわかるまでには時間がかかります。
わかった頃には、委員の任期が終わっているというのはよくあることです。
そこで、『PTAの手引』があれば、そうした悩みをいくらかでも解決することができます。
それぞれのPTAで、手引作成委員会を作って、皆で作っていくのが一番望ましいと思いますが、
気がついた人が、手引を作って、会員の皆さんに呼びかけていくのも1つの方法だと思います。
ここに、載せる手引は、私自身が小学校PTAを卒業する時に、
時期の会長さんに『もしよかったら使ってください』と、
14年間関わりつづけた小学校PTAに置き土産のように作ったものです。
しかし、どうやら使われてはいないようです。(残念!!)
手引を作るときの参考にしてくださると、嬉しいです。(浅井ゆき)
矢切小PTAの手引
【目次】
1.PTAとは何か
2.PTAの組織について
3.どんな委員会がありますか? 委員会はどんな活動をしていますか?
4.役員について
5.会計について
6.最後に…
≪PTAって何でしょう?≫
PTAとは、父母と教職員とが、子どもたちの健やかな成長と幸せのために、ともに話し合い、学び合って、活動するところです。 |
矢切小PTAの会員は、矢切小に通うすべての子どもの保護者と、矢切小に在籍するすべての教職員です。(一世帯一会員です)
*会則第2条(目的)この会は保護者と教職員とが協力して、学校と家庭と社会における児童の健全な成長をはかることを目的とする。 |
≪PTAはどんな活動をするのでしょうか≫
@ 子どもたちの学校・地域・家庭の中での生活(教育環境)が、より豊かなもの
になるために活動する。
A そのために必要な研修・学習をする。
B 行政の教育予算が充実するように努める。
C その他、PTAの目的である、子どもたちの幸せで豊かな成長のためには、何が必要か皆で考え合って活動していきます。
そして、矢切小PTAと同じ願いを持つ他の団体や機関と協力していくことも大切です。
≪総会って何をするところですか?≫
総会は、会員が集まって、PTAの活動や会計のことなどについて、皆で話し合って決めるところです。総会がPTAの中で一番決める力を持っている会議です。PTAの活動や運営について決めていくのは、会員です。会員一人一人が意見を出し合って決めていくのです。ですから会員は、PTAについてのいろいろなことを決める総会になるべく出席して、自分の質問・意見・要望などを発言しましょう。そして、出された意見に対しては、その場に参加している人皆で話し合っていきましょう。総会が会員の活発な話し合いの場になるのが理想です。議長(総会の場で参加した人の中から選びます)は、出席者が発言しやすいような雰囲気作りに努めましょう。そして、質問や意見などは、たった一人の会員から出されたものでも、尊重して、総会の場で十分に検討するように議事を運営します。出席してよかった、発言してよかったと思えるような総会に会員みんなでしていきましょう。
総会は、年1回、年度初めに開かれます。
総会では、その年の活動計画や予算が話し合いの中心になります。また、会則の改正を行う時は総会で話し合い、会員の承認が必要です。
この年度始めの総会の他に、臨時総会が開かれることもあります。臨時総会は、委員総会が必要と認めたとき、あるいは会員の1/10以上の要求があったときに開かれます。
平成8年度より、総会を年度始めと年度末の年2回開くことについての検討を続けています。
≪委員総会って何ですか≫
委員総会は、各クラスと教職員から選ばれた学年委員・広報委員・文化委員・校外委員と本部役員が出席して、話し合う場です。
委員総会は、年2回、年度始めと年度末に開かれます。
年度始め委員総会では、活動計画や予算についてが話し合いの中心になります。
年度末委員総会では、一年間の活動の報告、決算報告、会計監査報告がされ、その報告について話し合います。そして、一年間の活動について反省し、次の年へその反省がいかせるように検討します。
また、年度末委員総会では、次の年の新しい役員の候補者が選考委員会より紹介され、その場で、委員の承認を得ます。
委員総会は総会の次に決める力を持っているところです。
委員総会に出席するのは委員全員と役員ですが、委員でない会員もオブザーバーとして出席して、意見・質問・要望などを述べることができます。ただし、採決には加わることができません。
≪運営委員会について≫
運営委員会は、総会で決められたことにしたがって、PTAの活動を具体的に運営するところです。総会で決まった活動計画や予算にしたがって、一年間の活動・運営について各委員会の意見をまとめながら、話し合いを進め、それを形あるものにしていきます。
運営委員会に出席するのは、学年委員会・広報委員会・文化委員会・校外委員会の4つの委員会の正副委員長と、役員全員です。
運営委員会は、毎月一回(8月を除く)開かれます。運営委員会で提案されたことは各委員会に持ち帰って話し合われます。各委員会の話し合いの結果は、運営委員会に報告され、その場でまた話し合われます。運営委員会は、常に会員は何を望んでいるのか、どんなことを考えているのかを幅広くキャッチして、会員の声に答える形で話し合いを進めていくことが大切です。委員会を通して届けられる会員の声を大切にしていきましょう。
また、会員はオブザーバー(意見は述べられるが、議決権はない)として、運営委員会に参加することができます。
3.どんな委員会がありますか?
委員会はどんな活動をしていますか?
≪学級委員会≫
PTAの活動の基礎は学級にあります。各クラスでは、学年委員・広報委員・文化委員・校外委員の4人の学級委員を選びます。この4人の学級委員と担任の先生とで、学級委員会を構成します。学級長は学年委員が兼ねます。そして、学級長(学年委員)が必要に応じて学級委員会を開きます。
学級委員会では、クラスの人たちの意見をもとに、学級懇親会を開いたり、さまざまな学級活動を企画します。一番大切な仕事は、クラスのPTA会員がどんな悩みを持っているか、どんな要求を持っているかをキャッチして、クラスの中で話し合って解決するために努力することです。そして、クラスの父母と先生とのコミュニケーションが十分に取れるようにします。これは、学級長だけでなく、学級委員全員の仕事です。
≪学年委員会≫
各クラスから1名ずつ選ばれた学年委員と教職員の学年委員とで構成されます。
その学年委員の中から、互選で各学年の代表委員を選びます。その学年代表委員の中から、また互選で学年委員会の正副委員長を選びます。そして学年委員長は必要に応じて学年委員会を開きます。
学年委員会の仕事は、各クラスから出された会員の意見などを、学年委員会全体として話し合ったり、必要に応じて、PTA全体の問題として検討したりします。
具体的には、学年懇親会や学年行事を行ったり、学年ごとの学習会・PTA全体の学習会なども企画することができます。
もうひとつの大きな仕事は、各クラスから出された会員の意見を、運営委員会で報告することです。学年委員は、クラスの会員と運営委員会とを結ぶ大事なパイプ役です。運営委員会で話し合われたことも、懇談会などを通して、クラスの会員に伝えることも大切です。学級PTAだよりを発行してもよいですね。
≪広報委員会≫
広報委員会は、各クラスから一名ずつ選ばれた広報委員と、教職員の広報委員とで構成されます。そして、互選で正副委員長を選びます。広報委員長は、必要に応じて広報委員会を開きます。
広報委員会は、PTAの広報に関する活動を行います。
主な仕事は、PTA広報紙の発行です。広報紙は、PTA活動を会員に知らせたり、会員同士の意見交換の場や、交流の場として大切な役割を担っています。
PTA行事の報告、各委員会活動の報告など、そうしたお知らせと同時に、会員が抱えている問題をテーマにしたり、あるいは、その時の地域・学校・家庭で抱えているさまざまな問題に焦点を当てたりすることもできます。父母と教師が力を合わせて、子どもの幸せを願うために活動するというPTAの目的に沿った視点であれば、どんなテーマでも、特集記事を組むことができます。作り手も読み手も同じPTA会員という強みを生かして、会員の要求に沿った新聞作りをしましょう。
また、広報委員会の中で十分に話し合って、いろいろな問題提起もしていきましょう。
新聞を編集する権利は広報委員会にあります。たとえ、校長先生やPTA会長であっても、委員会で決定したことをたった一人の意見でくつがえすことはできません。
校長先生もPTA会長も、同じPTAの会員として意見を述べる権利を持っているにすぎません。何か、食い違いが生じた時には、時間をかけて話し合いましょう。
≪文化委員会≫
文化委員会は、各クラスから一名ずつ選ばれた文化委員と教職員の文化委員とで構成されます。そして、互選で正副の委員長を選びます。文化委員長は、必要に応じて文化委員会を開きます。
文化委員会の大きな仕事は、子どもたちの幸せな成長のために何が必要かを学習する活動をすることです。子どもたちが今どんな環境で暮らしているのか、どんな気持ちで暮らしているのか、今の子どもたちの姿を正しくとらえ、また、子どもたちが伸びやかに成長するためには、どんな学校・地域・家庭であったらよいのか、そんなことを学ぶ学習会や講演会を企画します。
子どもたちの健康についての学習も大切です。病気や食事。大気汚染・水道水汚染の問題。環境ホルモン。例をあげればキリがないほど、学習のテーマはあります。
子どもたちの心の問題も重要です。いじめの問題。思春期の子どもの心。
どんなテーマでもいいのです。子どもたちが健やかに成長するために必要だと思うことを、PTA会員みんなで考え合い、学び合う場を作っていくのが文化委員会の大きな役割です。
≪校外委員会≫
校外委員会は、各クラスから一名ずつ選ばれた校外委員と教職員の校外委員とで構成されます。
校外委員の中から互選で正副の委員長を選びます。校外委員長は、必要に応じて校外委員会を開きます。
校外委員会の仕事は、学校の外での子どもたちの生活について考える委員会です。
この地域は子どもたちが健やかに成長するために、十分な環境になっているだろうか、それを点検し、必要があれば、環境を整えるための活動をします。
また、地域での父母や子ども同士の交流を図るための活動もします。以前は、各子ども会から地区委員を選んで、地区委員会として活動していたのが、校外委員会の前身です。しかし、子ども会が次々に休会になっていく状況の中で、各クラスから選ぶ校外委員会へと変身したのです。
ですから、校外委員会の担う役割は、地域のつながりが薄くなっている今、どうしたら地域のつながりを深めることができるかを考えるためにも大切なものになっています。
今までは、あまり計画していなかった、地区懇談会や地区交流会なども、他校の例に学んで、企画してみるのもよいかもしれません。
≪選考委員会≫
選考委員会は、各クラスから1名ずつ選ばれた選考委員と教職員から選ばれた選考委員(2名)で構成されます。互選により正副委員長を選びます。
選考委員会は、次年度の役員と会計監査委員を選ぶための活動をする委員会です。役員の選考をどんな方法で選考するかについては会則の中にあまり書かれていません。ですから、選考委員会が4月に発足してから、時間をかけて、選考方法をどうするか検討しなければなりません。今は細則がないのですが、会員の皆さんが必要だと考えたら、役員の選考についての細かい決まりをみんなで作るとよいでしょう。
選考委員会で大事なことは、その活動をできるだけ会員の方にお知らせしていくこと。それと会員の方の意見を反映させて選考活動を行っていくことです。選考委員会という密室を作ってはいけません。会員が自分たちのPTAの役員がどのように決まっているのかをぜんぜん知らないというのではいけません。また、自分たちのPTAの役員が自分たちの意見とは関わりないところで決まっているという思いを会員が持つことのないように、選考委員会をオープンにしていく必要があります。
皆のPTAの役員を決めるのですから、皆が参加できる形で決めたいですね。選考委員ではない会員の方たちも、自分たちで役員を選んでいくという気持ちを忘れずに持っていたいものです。
具体的には、年度末の委員総会でPTA役員候補者の承認を受けるので、それまでに選考活動を進めておかなければなりません。そして、委員総会で承認されて、選考委員会の活動は終わりになります。
≪役員と委員とは違うのですか?≫
委員はクラスから選ばれた、学級委員4名(学年・広報・校外・文化委員)と選考委員のことです。役員は委員とは違って、選考委員会が会員の立候補や推薦をもとにして選出し、委員総会の承認を経て決まります。委員はクラスのことや、学年のこと、あるいは広報・校外・文化などの専門委員会の活動をしますが、役員はPTA全般に関わる仕事をします。
≪役員の構成はどうなっていますか?≫
役員の構成は、会長 1名
副会長 2名
会計 3名(正会計1名・副会計2名)
庶務 3名
理事 2名(理事は会長の推薦により選出されます)
それから役員ではありませんが、会計監査委員が3名います。
≪役員の任期≫
役員・監査委員の任期は1年ですが、2年続けて同じ役職につくことができます。3年続けては同じ役はできません。違う役職なら3年目も役員になることができません。しかし、4年続けて役員になることはできません。(会則第27条)
≪役員はどんな仕事をするのですか?≫
役員は総会で決められたことに基づいて、PTAの活動がスムーズに行われるように事務的な仕事をします。
会長 会長はPTAの代表です。具体的な仕事としては、
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総会や運営委員会を開きます。
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運営委員会や会員に提案・提出する資料などを作ります。
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会員に配る手紙・資料などを確認します。
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PTAのお金の出入りを確認します。
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PTAを代表して、学校行事や対外的な行事を出席します。
副会長 会長の仕事を補佐します。また、会長が不在の時は会長の代理を務めます。
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運営委員会・委員総会・役員会の司会をします。
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運営委員会や会員に提案・提出する資料などを作ります。
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会長と共に、あるいは代理として、学校行事や対外的な行事へ出席します。
会計
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会計はPTAのすべての収入・支出を記録し、管理します。
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一般会計については正会計が担当し、特別会計(廃品回収やバザーに関するお金の出入り)については副会計が担当します。
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予算書・決算書(上半期と期末決算書)を作ります。
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10月、3月に会計監査を受けます。
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副会計は、廃品回収に関する事務的な仕事も担当します。
庶務
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議事録を作り、保管します。
(PTA総会、委員総会、運営委員会、役員会)
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PTA行事や活動に関する手紙・資料などを作り、印刷します。
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PTAが使用する部屋の割り振りをします。
監査委員 (会計監査委員は役員ではありません)
10月と3月に会計監査を行います。
PTAに関わるお金の出し入れが適正に行われているか、会計伝票・帳
簿・預金通帳・領収書などをチェックします。
会計監査の結果を会員に報告します。
PTAの活動は,会員一人一人が納めた会費によって行われています。PTAの活動はその目的を実現させるために行われるものですから、例えば、学級・学年費で子どもたちに物を買って贈るというような会費の使い方はしません。子どもたちの幸せな成長のために、もっと間接的に子どもたちへ還元するものです。学校へ物を寄附するという使い方も良くありません。
PTAの活動を通じて、父母と先生が信頼を深める、あるいは、地域全体で子どもたちを育てるといった地域づくりをするというような形で、子どもたちの幸せな成長のための環境を整えていくために、PTAの会費は使われます。そのための学習会や懇談会といったような活動にお金を使うのです。
そのことを常に忘れないようにしましょう。
最初に書いたように、PTAは、父母と教職員とが子どもたちの健やかな成長と幸せのために、ともに話し合い、学び合って活動するところです。今、子どもたちをとりまく環境はとても厳しいものがあります。学校も地域も、家庭もさまざまな問題を抱えています。一人で悩んでいても解決しないことがたくさんあります。でも、互いに抱えている問題を話し合い、いろいろな人の知恵を出し合って、力を合わせていけば、解決できることもあります。そのためのPTAです。
今、会員の誰もが忙しく、貴重な時間をさくことは大変ですが、それでも少しの時間を出し合って、豊かなPTA活動をしていきましょう。委員や役員も積極的に引き受けていきましょう。子どもたちのために、そして自分自身のために。
PTA活動を通して、私たち大人も、さまざまな人たちと出会います。異なった考え方をする人と出会います。考え方は違っても、子どもたちの幸せを願う気持ちは同じです。その同じ目的のために、いろいろな違いを持つ人たちとどう力を合わせていくか、その方法を私たち大人はPTA活動を通して学んでいきます。互いの違いを尊重しながら、時間をかけて話し合い、互いに納得できる方法を探る。これは私たちが生きていく上で大きな力になります。
そして、さまざまな人たちと力を合わせて何かを成し遂げるということは、とてもすばらしいことだと実感できるのも、PTAのよいところです。もっともっと力を合わせれば、PTAでできることはもっと広がっていきます。
PTA活動に積極的に参加していきましょう。